こちらの本を読んだ感想です。
子どもの心に深い傷を与え、アダルトチルドレンを生み出す家庭を
「機能不全家族」と言うそうですが、具体的には、
・身体的、精神的、性的、言語的虐待がある家族
・仲が悪く、怒りの爆発する家族
・愛のない冷たい家族
・親の期待が大きすぎる家族
・他人の目を気にする、表面だけ良い家族
・秘密があまりにも多い家族
・親と子どもの関係が逆転している家族
・子どもを過度に甘やかし、溺愛する家族
・何らかの依存症を持つ家族
などがあるそうですが、
あなたの育った家庭はどのタイプ?と思うくらい、
戦前戦後の日本社会や学校教育のことを考えると、
ほとんどすべて(90%)の家族が機能不全家族だと思いました。
何らかの虐待のない家族はほとんどないと思いますが、
虐待がなくても、両親や祖父母と両親の仲が悪いと、
その中で育つ子どもは「精神的に傷つく」と書いてありました。
また、親の不在(死)や、親との触れ合いが極端に少ないと、
子どもは見捨てられた感や不安を抱いてしまうそうです。
機能不全家族で育った人は、子どもを愛せなかったり、
夫婦仲がうまくいかなかったり、仕事がうまくいかなかったり、
どうしてこんなに生きづらいのだろう?と思うことが多く、
何の苦労も問題もなく育ったと思っていたけれど、
よく考えたら機能不全家族だった!ということに気づくパターンが
毒親育ちの人が描いた本を読むと、とても理解できます。
日本の社会は、自分を犠牲にして他人の世話をするような
生き方を美徳とするので、共依存に陥る人が多いそうです。
共依存の人の特徴:
・自分がいなければダメになってしまうと考え、自分を犠牲にして
相手を助けたり、世話をする。☜女性(母親)に多い
・問題のある人、信頼することができない人に引かれてしまう。
・相手を変えようとコントロールする。おせっかい。
・相手との境界線がはっきりしていない。
・NOと言えない。真実を隠す。ウソをつく。
・自分には何も問題はないと思っている。(笑)
などなど、当てはまる人は多いと思います。
機能不全家族で受けた心の傷は、トラウマとなって
色々な悪影響を与えますが、そのトラウマを認め、
癒していけば、様々な問題や状況から抜け出せたり、
不健全な人間関係も改善することができるとも書いてありました。
まずは、話を聞いてもらったり、ノートに書き出したりして
子ども時代の辛い思い出を全部吐き出してしまうこと。
著者は100人くらい性的虐待で悩んでいる人のセラピーを行ったそうです。
実際にあったこと(事実)を認め、心の傷を語った後
そこに新しい解釈を与え、肯定的な意味づけをしていく。
自尊心を取り戻せたら、インナーチャイルドに語りかけて、
自分自身への信頼を取り戻していく。
アダルトチルドレンは自分に対してマイナスイメージを持っているため、自分を肯定する言葉をかける必要があるそうです。
「癒しの手紙」という一人で出来る方法も書いてありました。
①出さない手紙…自分を傷つけた相手に怒りや悲しみを書く
②「私」を主語にして、自分がどう思ったか、感じたかを書く
③インナーチャイルドに向けて、励ましたやいたわりの手紙を書く
①~③を繰り返し、心の傷が癒され、怒りが去って
心から自分を許し、自分を傷つけた人を許せるようになったら、
④出す手紙…心の傷を与えた人の事情を理解し、非難せずに
自分の経験したことを語るように書く
トークセラピーや癒しの手紙だけで癒されない人には
体を使ってトラウマを再現する方法も紹介されていました。
何人かのグループワークで役割を決めて、
「こうしてほしかった」という行動を、実際にしてもらったり、
謝ってもらったり、優しい言葉をかけてもらったりして傷を癒す
というものです。
過去の傷ついた体験を話すことで、その時の感情が浄化され、
過去にほしかった(得られなかった)言葉や体験を
他の人からしてもらうことによって、癒しを体験できるということが
分かりました。
「虐待をしてしまう人は、まず自分自身の傷を癒すこと」
という言葉が心に残りました。