今回も図書館で借りた本です。
今回は、
『女騎手』(蓮見恭子 著)

主人公は紺野夏海。栗東所属の騎手。父は元騎手で調教厩務員の紺野幸成。
阪神開催のあるレースで、夏海は久々の勝利を逃げ切りで飾る。しかし、その後ろでは落馬事故が起こり、
幼馴染で競馬学校の同期である岩本陽介が大怪我をして病院に担ぎ込まれる。幸い命に別条はないものの、
夏海はその事故に不自然なものを感じ、自ら調べ始める。
そんな中で、落馬した陽介が騎乗していたホナミローゼスが所属する厩舎の調教師で、陽介の父である
岩本調教師が何者かに殴打され、これまた大怪我を負う事件が発生した……
この作品は、一昨年の「第30回横溝正史ミステリ大賞」の優秀賞に選ばれた作品。
このときの大賞が「お台場アイランドベイビー」(伊与原新 著)。
当然のことながら、競馬サークルが舞台となっていて、その構成員である騎手や調教師、調教助手、
牧場や馬主といった人たちがどのように関係しているかを上手く使っているなぁ、と思いました。
調教師と馬主の関係、調教師と騎手の関係。また、この業界は親子、あるいは血縁のある者が
携わっていて、もっといえばサラリーマン家庭からこの業界に入ってくるのは少数派で、
近年になって増えてきた、ってこととか。
裏を返せば、競馬を知らない人や興味のない人は、ちょっと大変な作品ではないかと思います。
有る程度、競馬の知識がないと、おもしろさが半減しちゃうかな、という感じです。
冒頭、「蜂」のことから話が始まりますが、これが謎を解くヒントです。
ミステリーの仕掛けもよく考えているなぁと思います。
もちろん最後には、すべての謎が解き明かされるのですが、結果としてはハッピーエンドでは
ありません。
エンディングについては、個人的にはちょっと残念な終わり方かなと。
もう少し広がり、というか深みをもたせても、というような消化不良感を抱きました。
今回、同じく競馬を舞台としたミステリー作品「W(ダブル)」を借りたんですが、
それと比べると、もう少し改良するところがあるのでは、と思います。
この作品中の小物としても出ているし、作者も大きく影響を受けていると思われるディック=フランシス。
昨年、89歳の生涯を閉じた、元英国騎手のミステリー作家ですが、彼の最後の作品がこのほど出ましたね。
それも期待してます。
そういえば、彼の命日は2月14日。もう一年が経つんだなぁ…。