時計の針を戻す事は出来る。

だが時間を戻すことは出来ない。

後悔しているかと問われたらしていると答える。

だが、やり直したいとは思わない。

何故ならやり直したとしても結局この道を辿るのだろうから。

最善を選んできた訳では無い。

もし違う道を選んでいたらと考えることは多々ある。

しかし私が私である以上この道に辿り着くことは必然だったという結論に何度も達した為、考える事は無意味な事だと理解した。

理解したとしても考え続けてしまうこの脳みそに嫌気がさしてきた今日もただただ惰性に生きている。

夢があった。希望があった。

大きくなるにつれてそれは過去に過ぎていった空想になった。

出来ること、やれることを探していくうちに道がわからなくなって手近な街頭に照らされた標識に書いてある道に向かってふらふら歩いている。

このままでいいのかとポンコツな脳みそが問いかける。

このままじゃダメだよと壊れた時計が囁いた。

じゃあどうすればいい?

こたえるものは誰もいない。

漠然とした不安に足をとめると誰かが背中を押すもんだから進まざるを得ない。

何してるんだろう?何もしてないけど。

生きる事に意味が欲しいと思ってた頃もあった。

結論、死ねないから生きるしかないと理解した。

なんで生かされているんだろうと考えて、それを考えることも無意味な事だとも理解した。

理解したとしても考え続けてしまうのは人間だから仕方なしと無理矢理納得した。

と思考している私は誰なんだろう?

我が愛しのポンコツはどうやら暇で仕方ないらしい。

意味があるように見せようとしたもののまるで意味を持たない文字の羅列が目の前を踊っていく。

何度も同じ文字ばかり泳いでいる気がするのはきっと気の所為ではない。

嗚呼、今日もまた眠れそうにない。






今日も携帯を手にとり、誘われた蝶に甘い蜜の言葉を送る。

返ってきた言葉に絡めるように言葉を紡いで他の道を隠し、ゆっくりと堕としていくゲーム。

やめられない 私の悪癖。

そしてあの人が一番嫌うであろう行為。

こんな事知ったらあの人はどう思うんだろう?

どんな表情を浮かべるだろう?

どんな言葉を吐き出すだろう?

どんな行動をとるんだろう?

きっと軽蔑するだろう。激怒するかもしれない。

そんなことを考えるだけでお腹の奥がゾクゾクするような快感におそわれる。

嗚呼、知りたいが抑えられなくなりそうだ。


いつからだろう。

大好きな人に嫌われたいと思い始めたのは。

笑った顔が見たいが歪んだ顔が見たいに変わったのは。

最初からこんなんじゃなかった、はずだ。

愛される事を良しとし素直に受け入れていた。

そして愛を返すことに喜びを覚えていたはずだ。

それなのに何故?と問いかけても応えがないことは分かり切っているし、今更どうでもいいのだけれど


あの人はもうすぐ気づくだろう。

何故なら、あの人が気づくところに私が置いたから。

我ながら馬鹿な事をしたなと思う。

あの人なら、こんな私を知ってもいつものように笑って頭を撫でてくれるんじゃないかって、そんな事を考えていたのかもしれない。

それほどに目が眩んでいたのかもしれない。

あの人も所詮誘われた蝶にすぎないのに。

それでも期待してしまっている自分がほんと大嫌いだ。

だからはやく歪んだ顔を見せてよ。

そしたら私は満足できるから。

もうしないから、ねえ

そんな馬鹿みたいなことを考えながら、今日も私は携帯を手にとる。

たくさん撒いたこの種達がはやく芽吹いて、私自身を絡み殺してくれることを祈りながら。






冷たいベットを温め合うだけの関係。

寒い夜だけの歪な関係。

でも、気づいてしまったの。

自分が、どうしようもなく子供だったことに。


ねぇ。

ん?

あんたにとって私って何?

どうした。急に…

だって今年で3年目だもの。

もうそんなに経つのか。

だから、少し気になって。

どうなの?

…大切に思ってる。

…嘘ね。

嘘じゃない。

じゃあ、ちゃんと私の目を見て言って。

なっ…

ほら、早く。

やっぱり嘘だったのね。

違っ…

…ふふっ可愛い。

今日のところはそういうことにしておいてあげる。

ったく…


ぼんやりネオンに照らされるあんたの横顔が

どうしようもなく綺麗だったことだけは覚えている。