いつのまにかあの人のことを忘れていることに気づかないふりをして私はまた今日も殺しに行く。
弱ってる虫けらには面白いくらいに捕食者達は群がってくる。でも知ってる?
いや知らないでしょうね。理解できないでしょうね。食べられるのはあなたの方。嗚呼、可愛らしいお馬鹿さん。
死んだ?誰が?よく分からないけれどとりあえず泣いていましょう。そうすればいいんでしょう?
何はともあれ捨てる手間が省けて助かるわ。
そんなたくさんの葬式の中で泣き真似をする私をすごい顔で眺める人がいたの。
奥底に黒い炎を灯しているその眼に私は囚われたわ。その炎をずっと見ていたいとそう思った。
そして、この人がアレを殺したんだとそう感じた。
不思議だった。理由もないけれど確信があった。
人の顔を覚えたことのない私が初めて覚えた人。
一度しか目を交わしたことはないけれど、この気持ちは恋なんだろうと断言できる。
私には幼馴染みがいた。
強がりで不器用だけれど頑張り屋さんで泣き虫で、とてもとても好きだった。
そんなある日突然あの子が自ら命を絶った。
棺の中で綺麗な顔をして眠るあの子のゾッとするほど冷たい頬に手をあて、あの子はもう居ないんだとそう理解しようとした。
最後にかかってきていた留守番電話に気づいたのは何時だったろう。
何とか事実として飲み込めた頃にやっと。やっと聞けた時私はあの子の死の原因を知ったのだ。
もしもあの時電話に出ていれば、とめられたのかもしれない。そう後悔し続けた。でも私は今更どうする事も出来なかった。
だから私はあの子を死に追い詰めたあの人を 今尚のうのうと生きているあの人を… 許してはいけないあの人を苦しめる事にした。それがせめてもの償いになるはずだから。
いや、これはそんな綺麗なものじゃない。これはそう、ただのエゴだ。あの人に気持ちを伝えることも出来なかった私の、何も出来なかった私のただの自己満足。後悔と憎悪と嫌悪と色々なものがごちゃまぜでどうにかなりそうな私が逃げる為の手段。
あの人は一体どんな顔をするのだろう。
あなたがやってることは私と変わらないのよって。
絶望する?激怒する?それとも何も思わない?
それを想像するだけで何故か蕩けるような心地になる。
あなたに恨みはないけれどごめんなさい。
運が悪かったと諦めて。
そう、あなたはただ運が悪かっただけ。
あの人に出会ってしまったのが運の尽きなの。
私はあの人と一緒にいるために遊び続けるから。
だから、追いかけてきて?