声が聞こえた

誰のものかわからない

なんて言っていたのかもわからない

だが 声が聞こえた気がした

私を責めているような

そんな 声が


 悪いのは私 ではない 


あの人に会ったのは数十年前のこと

同じクラスで昼食をたまに一緒に食べる程度の仲だった


あの人の隣は何故かすごく居心地が良かった

止まる事を許されていない私が

休む事を許されていない私が

あの人の隣では 私はゆっくりと息を吸えた


 あんな事 許されるわけもないのに


初めは小さな綻びだったんだ

その時に気づいて戻ればよかったのに

そうすれば こんな事には ならなかったのに


一度解放された 欲求は 

一度知ってしまった 蜜は

閉じ込めることはもうできない


気づけば 私の乗っていたレールは消えていた

跡形もなく 消えていた

それと同時に 私の手のひらの上には

何もなかったことに気がついた

周りから言われるままに 

人形のように過ごしていた私には

何もなかったのだ


 私は自由にしちゃ駄目だったの?


そんな時 目の前にあの人が現れた

久しぶりに会ったあの人はとても幸せそうで

私とは違って とても幸せそうで

光に満ちているように見えた


 ほんの少し魔が差しただけなんだ


あの人が羨ましかった

光の中で幸せそうに笑うあの人に私もなりたかった


 私はあの人の 椅子 に細工をした


でも悪いのは私 ではない


 悪いのは私だけ ではない


私は 













ソレが 近づいてくる

逃れようと身体を捻るものの

欠けて壊れた部品が多すぎて

もう 身動き1つとれやしない


ゆっくりとゆっくりと されど着実に

ソレは近づいてくる

どんなに怒鳴っても どんなに泣き叫んでも

止まる事はない


これから 私は どうなってしまうのか

私はきっと 誰よりも知っている

そして ソレを止める方法が

存在しないということも

私はきっと 誰よりも知っている


何故なら

ソレを作ったのは 

ソレを見つけたのは 

私なのだから


気がつくとソレはもう目の前にいた

触れた途端 背筋にぞわりと何かが駆け抜けた

ゆっくりとゆっくりと ソレは進んでくる

私の中に入ろうと進んでくる


やがて プツンと音がした

吸い寄せられるようにそこに目が向く

そこはまるでザクロの実が熟したようで

少しだけ美味しそうだった


冷たいものが中に入ってくる感覚と同時に

そこがとても熱くなった

ソレは冷たいはずなのに何故か溶けた鉄の棒が刺さったかのような熱が

じんわりと広がっていった


ソレは止まる事無く進んでいく

そのうちにさっきの熱が嘘のように消えて

身体中の温度が生命が指先から溶けていくのを感じた


形容し難い音がなっているのをボンヤリと聴きながら じっと 地面に垂れた液体を眺める

そこに映る自分の顔は まるで あの人の……


ソレは私を2人にした瞬間 動作を止めた









Happy birthday to you,

Happy birthday to you,

Happy birthday, dear…


Happy birthday to you.


おめでとう おめでとう

今日は君の第2の誕生日だ

みんなが盛大に祝ってくれる

君の新たなる旅立ちにね


さぁ 最後に紅をさしてあげよう


うん とてもよく似合ってるよ

君の青白い肌によく映える


さてと 最後に君の周りに薔薇を飾ってあげよう

真っ赤な薔薇 君が大好きだった花

大好きなものに囲まれて 幸せだろう?



それじゃ 私はそろそろ行くとしよう

さようなら またいつか


Happy birthday to you,

Happy birthday to you,

Happy birthday, dear…


Happy birthday to you.