あの人と二人で出かけるだなんて、いつ以来だろう。

嬉しくて嬉しくて昨日はあまり眠れなかった。

そのせいで今朝は、目の下にくっきりと浮かんだくまを退治するのに時間がかかってしまい、電車に乗り遅れてしまったのだけれど。


窓の外流れていくいつもの景色。

あの人ともうすぐ会えるというだけでなんどかいつもより色鮮やかに見える。

約束の時間には間に合いそうだ。よかった。

吊り革に掴まりぼんやり車内広告に視線をさまよわせていて気づいた。

今日、クリスマスだ。


12月だということはわかっていたけれど、もうそんな時期だとは

コンビニのチキンがたくさん売られてたのはそういう事だったのか。納得。

いや、そうじゃなくて。

どうしよう。プレゼント、用意してない。






A:ねぇ。これ、どうする?

B:どうしよっか。

A:んー食べる?

B:お腹すいたもんね。

A:ねー。美味しいのかな?

B:隣のお姉さんは美味しくないって言ってたよ。

A:えー美味しくないの!?じゃあ要らない。

B:そうだね。要らないから捨てちゃおっか。

A:捨てちゃうのは勿体無いなぁ。

B:それなら、あの子のご飯にするのはどうかな。

A:とてもいい考えだね。そうしよう。

B:よいしょ。

A:よいしょ。ふう。

B:大きすぎて餌箱に入らないや。

A:ちっちゃく出来るかな?

B:出来るかな?あ、ここに包丁があるよ。

A:包丁で切ろう。えいっうわ、かたい。

B:それ貸して?

A:はい。

B:ありがと。えいっ固すぎて切れないよ。

A:じゃあ中のグチャグチャしたのだけあげる?

B:それがいいね。

A:じゃあもう少し広げようか。

B:わかった。えいっと。

A:うわ、くさーい。

B:くさーい。

A:これ、あの子食べるのかな?

B:鼻がないから大丈夫だよ。それに

A:それに?

B:中身は栄養たっぷりって向かいのお兄さんも言ってたからね。

A:最近あの子具合悪いみたいだったからぴったりだね。

B:うん。わぁ、見て。ぴったり入ったよ。

A:盛りつけも完璧だね。これならあの子も喜んでくれる。

B:ほら、おいで。ご飯だよ。

A:栄養満点のご飯だよー。

B:…出てこないね。

A:…こないね。寝てるのかな?

B:そうかもしれないね。また後で見にこよう?

A:うん。あ、この外側どうする?

B:んー、外側は捨てちゃおう。

A:勿体なくないの?

B:だって、入れ物は捨てるものでしょ?

A:そっか。ダンボールも捨てちゃうもんね。

B:だから、勿体なくないよ。

A:わかった。じゃあ、捨てよう。

B:よいしょ。

A:よいしょ。

B:行くよ。

A:うん。

B:いっせー

A:のーせっ

B:ふぅ。疲れたぁ。

A:疲れたね。疲れたら眠くなってきたよ。

B:眠たいね。もう寝る?

A:そうしたいけど、このままじゃお布団が汚れちゃうね。

B:本当だ。気づかなかった。

A:先にお風呂だ。

B:お風呂入ろう。

A:うわぁ。服にべっとりついてる。

B:これ落ちるのかな?

A:ひょうはくざいって言うの使ってみる?

B:白くなるの?

A:分かんない。

B:まいっか。試してみよう。

A:えっとどう使えばいいのかな。

B:どっかに書いてないの?

A:んーとあ、あった。なになに。んー

B:難しい字ばっかりで読めないね。

A:ねー。読めないから洗えないね。

B:洗えないね。ならもうこの服捨てちゃう?

A:そうだね。捨てちゃおう。

B:ぽーい。

A:ぽーい。

B:はやく湯船に入ろう。

A:あ、待って。

B:ん?どうしたの?

A:そのまま入っちゃダメだよ。

B:このまま入っちゃダメなの?どうして?

A:お湯が汚れちゃう。

B:そっか。汚れちゃうね。

A:先に身体洗わないとだよ。

B:そうだね。身体洗おう。

A:ごしごし。

B:ごしごし。

A:いたっ目に泡が入っちゃった。

B:大丈夫?お湯かけてあげようか?

A:うん。お願いありがとう。

B:どういたしまして。

A:さてと。綺麗になったね。

B:綺麗になったね。

A:じゃあお風呂に入ろう。

B:お風呂に入ろう。

A:あったかーい。

B:あったかいね。

A:じゃあ10数えよう。

B:うん。10数えよう。

A:いーち

B:にーい

A:さーん

B:しーい

A:ごーお

B:ろーく

A:しーち

B:はーち

A:きゅーう

B:じゅう

A:しっかりあったまったね。

B:ぽっかぽかだね。

A:気持ちよかったね。

B:ねー。あ、そうだ。

A:どうしたの?

B:今度あの子も一緒にお風呂に入らない?

A:いい考えだね。あの子もきっと喜ぶよ。

B:うん。

A:身体綺麗になったし、そろそろ寝よっか。

B:そうだね。そろそろ寝よう。

A:おやすみなさい。

B:おやすみなさい。




寂れた街の 橋を飛び越えた 

時計塔の上に君はいた

少し冷たい その手を握り 

今日も一緒に旅に出よう


遠い遠い国の 昔昔の物語

無口な君が教えてくれた おとぎ話


今日は何処へ出かけようか

君と僕の二人きりで

まだ見ぬ世界作ろうよ

君と僕の二人きりで


ある朝君は小さな声で

行かないでと手をひいた

何も気にせずにまた来るからって

そう言って僕は街を出た


昨日と同じ日が昇り  昨日と同じ日が沈む

そう思っていたのは  僕だけだった


今日は祭りだ 大騒ぎ

揺れる影が叫んでる

人混みを抜けた先に

太陽となった時計塔


君の姿 探し歩く 

重い扉 脆く崩れ

夕日指し示す先に

やっと見つけた 影だけ


さあ 今日は何処へ出かけよう 

君と僕の二人きりで

まだ見ぬ世界作ろうよ

君と僕の二人きりで


寂れた街の 橋を越えた先 

時計塔が昔 ありました

蔦に覆われたその亡骸は

彼女が生きた日の夢


僕が生きた日の夢