痛いいたいイタイ

殴られたほっぺたがいたい。

殴られたこめかみがいたい。

心がいたい。




大好きな親友は他のクラスだ。

私が仲良くする人はみんなクラスが分かれるの。

あの人は私を支えてくれるし、慰めてくれる。

学校でだけだけど。(だって家は遠いし、お互い部活動とかがあるしね

でもそれだけで十分だよ。ありがとう。




そう思っていたのに。





学校でイヤなことがあった。

些細なことだけど、私にとっては大きな傷だ。

(教科書を忘れたこととか、クラスメートにちょっといじわるされたとか)

本当に最悪

いやなことがあっったら寝るのが一番よ

そうおもってかなり早くベッドにもぐり、さっさと夢の中へ入っていやなことなんて忘れようと思った。


「おい」

なによ。寝かせてよ。


「お前俺の彼女に嫌がらせしたのか」

なに言ってんのよ馬鹿兄貴。

私がそんなくだらないことするわけないじゃない。


「でもあいつが言ってた」

あいつって彼女のこと?

私の言うことより彼女を信用するってこと

つきあいが長い私より最近つきあい始めた彼女の方が信用できるって?

ああ、そう。

くだらない。本当くだらない。

兄に変な嘘をいう彼女も、それを鵜呑みにすうあんたも。

いちいち気にする私も。

本当くだらない。


「調子のんなよ」

「のってないよ」

「のってんだろ」

「のってないって」

「そういうのが乗ってるっていうんだよ」


いつぶりだろう兄妹喧嘩

いつも私が口げんかで勝つの。

あんたは妹の私に口で負けることが悔しくて理不尽なことをいいだしたり、まったく関係ない話を持ち出すの。

今だってそう


「へりくついってんじゃねぇよ」

へりくつ?どこが?あんたはへりくつの意味分かってんの?


「っ・・・!」

ほっぺたがいたい。

じんじんする。

そう思って1秒

次はこめかみあたりに衝撃がきた。

痛い。あつい。


女の子に手を出すなんて反則だ


それから兄は部屋を出て行った。


なんで、今日はイヤなことが続くんだろうな

学校でも家でも。

唯一私を迎え入れてくれる夢の中も、私を殴ったあいつが壊したんだ。

きっと今日の星座占いでは最下位だったんじゃないかしら。

だって今日、いいことなんてなかったんだから。(イヤなことは多かったけどね。


あれ?おかしいいな

目があつい

熱を持った涙が座り込んでいる私の足に落ちる。

泣くことなんてもうないと思っていたのに。(あの人の前以外はね

さっきだって殴られても我慢できたのに。(あの人がいないから。

もう、今日は本当最悪だ。



涙が空に還る



(あの人に会いたくなった)(今あったら涙が止まらないと思うけど)(でも私にはあなたの支えが必要だから)

彼女はいつも空を見てる


薬品のにおいがする真っ白な病室で。


「具合はどう?」


「・・・」


なにか言ってよ。

僕は君の声を聞きに来たんだから。

毎日毎日、君に会いに苦手な病院の中を歩く僕に何か言ってよ。


「いつまで無視するの」


知ってる。

なんで僕になにも言わなくなったのか。

僕だけじゃない。他の人にも。


彼女は話せない。

声がなくなった。


彼女の大好きだった母親が自殺してしまってから。

その現場を見てしまってから。

彼女は誰にも声を聞かせなくなった。

彼女は空ばかり見るようになった。

きっと彼女の母親は彼女の声と心も連れて空へ上っていったんだ。

だから彼女は喋らないし、幼なじみの僕にだって顔すら向けなくなった。



君のみるその空に君のお母さんがいるの?

そこに君の声もあるの?

ーあの空に行きたいーーお母さんの元へ行きたいーなんてバカなこと言わないでね。

君がいなくなったら誰が悲しむと思っているの?

君がいなくなったら誰が後悔すると思っているの?

君がいなくなったら誰が空へ行く君の後を追うと思っているの?


全部僕だよ。

君は僕の支えで僕は君の支えなんだ。

例え君の大切なお母さんがいるあの空に行こうとしたって僕は君を離さない。

間違った道にそれるようなら僕が君の手を引いて光がある道へ行くよ。


「だからそんな馬鹿なこと考えないでね」


彼女は泣いた。

空を見て静かに涙を流した。


「死にたくない…でも、生きているのも辛いの」


いつぶりだろうね君の声を聞いたのは。


「死にたくない。死にたくないよ。でもお母さんに会いたいの」


彼女の出す久しぶりの声はすこしかすれていた。


「空に…お母さんに会いにいくための翼がほしい」




翼が欲しいと泣いていた



そんな彼女を力いっぱい抱きしめた。

(そしたら君は僕の背中に手を回した)(「涼は私を置いて行かないで」彼女はそう言った。)(腕の力を強くした)

「なに無視してんだよ」


え?


「俺を無視するなんて、いいご身分だな」


え?嘘

なんで

だってあなたは・・・



後ろには彼がいた。

直接見たわけでもないけど、気配があって、声がして。

幻覚かしら?でも、リアルすぎでしょ。



「死んだとおもった?」


「うん、幹部の人だってそう思ってる。」


「そか。さすがうちのファミリーの幹部はやることが早いね。ご丁寧に俺の墓までつくってくれちゃって」


「あなたも幹部でしょ?他の幹部はやることが早いのにあなたは連絡がずいぶんと遅いのね。」


「今、ボスに連絡いれたよ。1ヶ月間、相手のファミリーのとこいって潜入捜査。

敵をだますにはまず味方からだよ。俺だってやることはちゃんとやるんだから」



そんなの知らない!

心配して心配して大変だったんだから!

あなたの帰りをずっと待ってて。待ちくたびれてたんだから!


「泣いてるの?」

あなたが言った。


「泣いてるよ」

あなたのために



「こっち向いて」

そう言われて振り返った。

顔にガーゼとか張ってあるけど、そこにはちゃんと彼がいた。

安心したらもっと涙か出た。


「ひっでー顔!」

そういって笑うあなた


「うるさいわね!」

でもちゃんと涙を拭き取ってくれた。




「心配かけてごめんな

心配してくれてありがとう」


「うん」



後ろには君、前には幸せな未来を乗せて


そして彼は白い花束と小さな箱を取り出した。

「僕と結婚してください」

驚いて涙がとまった。


「お返事は?」

「・・・幸せにしてね?」


(ほらな!幹部はやることがはやいだろ?)(こういうことに関してはね)