マフィアなんていつ危険が迫るかわからない。


「必ず、必ず帰ってくるから!」



そう言ったあなたは拳銃を片手に足音が響くこの地下の長く続く廊下を振り向くことなく走っていった。


敵が攻めてきて、私たちのファミリーはほぼ壊滅状態。

私をここに誘導した彼は私のなによりも大切な人。


私は足がすくんで動けなかった。

行かないで

そういって手を伸ばすことだってできなかった。


「大丈夫、きっと彼は帰ってくるわ」

同僚は肩をふるわせ涙を落とし唇をかみしめる私の肩を優しく抱いて慰めた。





結局

あれから1ヶ月間、彼は私の前に姿を見せつけることはなかった。

ファミリーではもう殉職あつかいされてるよ。

仕事に身が入らない。

やる気が出ない。

もう涙なんて出てこないわ。

ねぇ、この涙、あなたが枯らしたのよ。

あなたのせいで、私の中の塩分はもうからから。



そんな私を幹部の方は

「今日は休みでいいよ。彼の墓へ行ってきてあげたら?

きっと寂しがってるから、君がいってあげたら喜ぶよ。」




あなたが好きだった白い花の白い花束を持って私はこの丘に登った。

彼はこの下には眠っていないけど、きっとここにいるよ。

だってここjは私たちのファミリーの墓がたくさんあって、なくなった彼のなくなった親友がここで眠っているんだから。休みの日、よくきてたでしょ?




十字架の墓の前。

彼の名前が彫られているその場所に彼が好きな花束を置いた。

そして流れる一筋の涙。



勝手にいなくって、勝手に心に住み着くなんて


(彼が私を呼んだ気がした。)(でもそれはきっとこの風のせい)

私と春樹はいつだって一緒だった。

毎日一緒に登校して、毎日一緒に下校した。

休みの日はいつも一緒で、小学校の頃から部活だって同じだ。


「こんなに仲がいい兄姉ってめずらしいよね

ていつも友達に言われてた。

春ちゃんは平凡な私と違ってかっこいいから周りからすごく好かれてた。

でも、どんなに友達が多かったっていつも私を優先してくれるの。

そんな春ちゃんが大好きで毎日うれしくて。


それが中学校の話。


高校からはお互いの部活が忙しくてなかなか一緒にいる時間がとれない。

「仲がいいね」って言われることも少なくなっていって。

春ちゃんも私も同性同士としかつるまなくなっていった。


クラスも離れてお互いの都合が合わなくて家でも一緒にいることはすくなくなってしまったの。

春ちゃん

私はもっともっとこれからも一緒にいたいよ。

たくさんたくさん、いろいろな出来事に君が隣にいてほしい。


ずっと一緒に居続けることなんてできないってわかってる。

だから、もっともっと、大人になるまで、お互いの分かれ道にぶつかるまで春ちゃんと一緒にいたいよ。





その分かれ道なんてまだまだ先だと思っていたのに。




春樹が彼女を連れてきた。



控えめの香水で肌が白い。

モデルさんみたいな長い足

さらさらの髪の毛にぱっちりした目




「春樹とつきあってます。よろしくね春花ちゃん」


同じ中学校の友第だった。



「中学生の頃からずっと好きだったの。3回目の告白でやっと認めてもらえたの」


あのコは私の気持ちなんて知らないから、そうやってうれしそうに話すの。

だって彼女には悪気が感じられないから。

嫌みな気持ちなんてなくて素直に私に話しているだけだから。



にくめないの。

性格がいいから。

私、今、この子がすごくかわいいと思うの。

素直で、一生懸命で。

すごく女の子らしいと思うの。




うれしくってったまらないって言う様に顔を真っ赤にしたあの子みたいになりたい




(あ ぁ、そっかだから春ちゃんは惚れたんだ。)(私は双子の片割れだからわかるの)(こんなに苦しむなら双子なんかに生まれてこなければ良かった。)