今日は、私が経験した中でも、とりわけ強烈だった怖い体験を書いてみようと思います。
あれは、私が大学三年の春休みに参加した、カナダ短期語学研修中でのことでした。
私達は、2月中旬から3月中旬にかけて、約1ヶ月余りをブリティッシュコロンビア州オカナガン湖周辺の、ヴァーノンという町でホームステイをしながら、研修先の大学に通っていました。
その研修中、訪れた場所にオキーフ牧場 がありました。
この場所は、オキーフ一族が1867年から110年間ほど運営していたのですが、その後文化遺産となり、博物館として一般公開されるようになりました。
そこへ行ったのですが、その牧場内に入る前に引率していた先生が、ふとこんなことを私達に話してくれたのです。
「これは実際に公にはされてない話なんだけど、実はこの場所には、よく出るという噂があるんだよ。」
出るといったら勿論オバケのことですが...。
先生の話では、この牧場を最初に開いたオキーフさんが、地元の女性といい関係になり、子供も出来て、暫くは一緒に住んでいたらしいのですが、本妻を迎えるに当たって、その女性と子供達が邪魔になり、彼らを追い出してしまったらしいのです(何て、薄情なことを)。
そして途方にくれた母子は、敷地内の木に首を括って命を絶ったのだそうです。
さて、この話を聞いた私は、密かに思いました。
「心霊写真が撮れるかも」
こんなことは絶対に思っちゃいけないことだったと、後になってどれだけ後悔したことでしょう。
でもそれも後の祭りで、あの時は軽い気持ちでそう思ってしまったのでした。
そして、屋敷の中、外、教会内と外をパチッパチッと何枚か撮影しました。
それから、その後の研修も何もなく無事終了し、私達は楽しかったカナダを後にして、帰国の途に着いたのでした。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。
4月になり、私は大学4年になっていました。
そして、研修で一緒だった友達とカナダで撮った写真を見せ合うことになりました。
カラオケボックスが私達の集合場所となりました。
歌を唄う合間に、それぞれの写真を見せ合いました。
みんなに写真を見せる前に、勿論私は自分の写真を前もって見ていたのですが、ある場所の写真が何枚も抜けているのです。
絶対ちゃんと撮ったはずなのに、現像されていなかったのです。
その場所というのは、そう、あのオキーフ牧場です。
私は、撮れていないのはおかしいと思い、ネガの方を見てみることにしました。
そしたらです。
屋敷内で撮ったほとんどの写真が、前後で重なり合っていたり、教会内を撮ったネガには、祭壇上の壁の十字架の部分を、真っ黒いサークルが覆い隠しているのが見えるではありませんか。
そして、極めつけだったのが、重なった前後のネガの左上の方に、ものすごい形相をした青白い顔のようなものがあったのです。
わたしは、それを見たとたん、面白半分で写真を撮るんじゃなかったと、本当に心底後悔したのを覚えています。
そのことをカラオケボックスにいた友達にも話し、そのネガも見てもらいました。
その場にいたみんなも、その時、あまりいい心地はしなかったと思います。
だって、もう一人の子の同じ場所で撮った写真も、見事に何枚も私と同じようなネガの状態で、現像されていなかったのですから...。
ただ、私と違っていたのは、あのすごい形相の顔は、どこにも写っていませんでした。
今思うだけでも、ゾッとします。
でもこの話は、これだけでは終わってはくれなかったのです。トホホ...。