エリエリにテレビを倒されてから、三ヶ月が過ぎた翌年の一月下旬。
その日は、特別な日でした。
なぜかというと、主人の妹さんの息子さんが幼いケイン君を残して、突然この世を去ってしまい(自殺とかではなく)、お葬式がもたれたのでした。
火葬とお葬式には、ダディちゃんだけが出席し、私はその後のパブで催されたお昼からのお食事会に、エリエリと二人で顔を出しに行きました。
突然、息子さん(因みに彼の生まれた日が5月13日の金曜日だったので、ダミアンという名前を付けたらしいです)を亡くしてしまった妹さんの悲しみがどれほどのものか、疲れきった彼女の表情からヒシヒシと伝わってきました。
そして悲しいことに、孫のケイン君のあどけない笑い顔が、それをもっと引き立たせているような気もしました。
それから、私とエリエリは午後の三時までそこにいたのですが、ヨシヨシを学校に迎えに行く時間となり、主人をひとり残してその場を後にしました。
夕食後、キッチンで食器を洗っていた私の耳に、またリビングルームから何かが落ちる大きな音が聞こえてきました。
何事かと思い、急いでリビングルームへ行ってみると、またまたテレビが倒れているではありませんか。勿論キャビネットも一緒に...。
どうやら、ヨシヨシがテレビゲームをしようとして、ゲームが画面に映し出されないので、やっきになって無理矢理ゲーム機のコードを引っ張ったら、それにつられてテレビとキャビネットまでもが一緒に倒れてきたらしいのです。
なんてことを...。
テレビを倒した当のヨシヨシも唖然としていました。
今回は子供達には怪我はなく幸いでしたが...。
でも、ゲーム機は完全に動かなくなってしまい、テレビは前回以上にダメージを受けているのがよく分かりました。
その後、主人にテレビを倒されたからすぐに帰宅するよう連絡を入れました。
そして、30分位してからほろ酔い気分の主人は、タクシーで帰って来たのです。
しかし、倒れているテレビを見た途端、その酔いもどっかに飛んで行ってしまったようでした。
私と二人でテレビを元に戻し、テレビが見れるかどうか確認です。
一応、画面は見れるものの、右上の端っこの方が緑と赤とが混ざった色になってぼやけています。
でも、とりあえず画像は普通に見れるし、音声にも異常はないから、完全に画像が見れなくなるまで、このテレビを使ってしまおう、という事になりました。
また、いつ子供達がテレビを倒すか分からないし...。
そんなこんなで、そのテレビも去年の10月に完全に画像が見れなくなり、晴れて新しいのに買い換える事となりました。
それ以来、今のところテレビは一度も倒されず、無事なままでリビングルームの片隅に置かれています。