荷物をひとまず安ホテルに預けて、夜の街へと繰り出した。
若者たちが、ネオンでにぎやかな通りに溢れぶつかりそうになる。
これが、ニューヨークなんだと、改めて実感させられた。
週末だったので、まるでお祭り騒ぎの様である。
ひと通り歩き、平行に沿った別の通りに行こうとして、わき道に入った。
所狭しと、両側に路上駐車してある。黒く長いリムジンがひと際目を引く。
あたりは、薄暗く、人通りもまばらで、前を行く若い青年二人がいるだけである。
少し酔っているのか、ふざけながら蛇行して歩いている。
その一人が、黒いリムジンを足でけった。何かわめいていたが、判らない。
すると、こちら側の車の窓が開き、現れたのはマシンガンだった。
前を行く二人が撃たれる、と私とTはその場に凍り付いた。
若者二人は、奇声とともに飛び上がった。次の瞬間、恐怖は笑顔に変わった。
黒い銃口から発射されたのは、勢いの強い一筋の水だったのである。
歓声を上げて若者は走り去り、私たちは唖然として顔を見合わせた。
アメリカの最初の洗礼だった。GOD BLESS AMERICA. ここは夢の国なのだ。
びっくり水を差されたように、顔は微笑みながらも、心は固くなるのを禁じえなかった。
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