11月4日
東京 護国寺にて開催された
御家流秋季茶道 香道大会にいって参りました

春期大会の様子コチラをご覧ください



御家流とは江戸時代初期に美濃加納藩主の安藤信友が興した茶道と
旧大名家に伝わる香道とを伝えている流派で
 

16世宗家の安藤綾信様が
香席3席 茶席4席 の席主をされました



全てのお席が考え抜かれた変化に富んた室礼で
宗家は当日も各席を回り花をいれられました

博識なご亭主の文化と歴史の背景のお話を
伺うのも毎年とても楽しみです



まずは「宗澄庵」
盆点の香席です



茶道にもお盆の中だけで点前が完結する
「盆略」があります



香道にも同じ点前があるなんて嬉しい発見です
小間にぴったりのお点前でした



テーマは「名古曽春秋香」
和歌に合わせた3種の香をかぎ分ける遊びです





「なこそ」は勿来関(なこそのせき)のことであり
古代から歌枕となっている関所の1つです
漢字は様々なものがあてられます
江戸時代の終わり頃からは「奥州三関」の1つに数えられ
所在地は諸説ありますが
安藤家は福島にも縁があるため
このテーマを選ばれたそうです


「関所」は今でいう空港の様な出会いと別れの場所
関所にかんする和歌は沢山残っています

 これやこの 行くも帰るも 別れては
    知るも知らぬも 逢坂の関   蝉丸

反俗的な隠者が見つめ続けた逢坂の関
そこで生まれた数々のドラマは
蝉丸の人生も彩ったことでしょう





うってかわって広間「楓の間」での香席
「角扇香」は扇を使います



チームに分かれ香をかぎ分け
(普段は向かい合って競技しますが
今回はお隣同士で)
当たれば隣のかたから扇を貰えます
普通は自分の扇を使うので
とても白熱するそうですメラメラ



何種かお試しをきき 香りを覚えてから
その後に出される本香が
お試しで何番目きいた香か それ以外かを答えます
今回は十種香札を札筒に入れて答えます







札には十種の植物が描かれているので
10名まで参加できます

「角扇香」なので
会記も扇に書かれました





札の集計の後扇の受け渡しがあります





今年GINZA SIXに開場した観世能楽堂
を祝して床には観世流の掛物と扇が





いよいよお茶席「月窓軒」は男子席です

袴を着けた男性陣がおもてなししてくださいます

武家の茶 を感じるお席です

 



床は鎌倉壽福寺和尚が
御家流を興した安藤信忠公
へ宛てた偈文



きらびやかな床です
テーマは「艶やかに薄茶を」
ということで

天目茶碗に台を添えて出して下さいました
茶碗と天目台の組み合わせも参考になります

豪華絢爛で格式が高くなり過ぎそうなところを
御家流では珍しい竹台子を合わせることで
少し砕け ゆったりと楽しむことができました



帛紗を鳥に見立てて台子の柱に結び
遊び心満載なお席でした



続いて小間の「円成庵」





 秋風に もみぢしぐるる 於く山の
   ゆうべや王びて 鹿の鳴くらむ  芝山持豊卿

先程の「月窓軒」とはがらりと違う

秋の冷たい空気を感じる様な室礼

中板のある茶室は亭主と客の間にゆとりが生まれます
たった一尺四寸幅(約42cm)なのですが凄い効果です



中板は炉の寸法に合わせてありますので
やはり炉がしっくりきます
炉の縁は畳同様 取り外し可能ですが
こちらの炉縁は円成庵に伝わるもので

勿来関(なこそのせき)の桜材
でつくられていて歌も添えられています

 花におう 名古曽の関の呼子鳥

   言問い行くと あやぶまれつつ  御水尾院

宗澄庵で開催されていた
「名古曽春秋香」にも掛かる
素晴らしい取り合わせに感激アップ

そして下に耳が付いた水指は
御水尾天皇の好んだ形を写したものだそうです

お茶はこのように点を繋げていく連想ゲームです
小さな空間から無限の世界が広がります







待合にきのこ絵図が掛けられた
立礼席「艸雷庵」

きのこは秋の実りの代表格ですが
雷鳥も贈り物として珍重されたそうです



お花は珍しい「肥後菊」




肥後細川家初代である細川忠興(三斎)が
興した三斎流の流れを汲む「御家流」は
九州に縁があります
お茶碗も唐津焼でした



「入子点」というお点前が新鮮でした
お茶碗に棗を入れて水指の前に置いてあり
普段お茶碗の中に仕組む茶巾・茶筅・茶杓は
水指の蓋の上にかざられています



裏千家にも「荘物」という似たお点前があります

流派によって解釈は違くても
古くから受け継がれた形なのだな としみじみ



そして家元席である「牡丹之間」
では濃茶をいただきます



細川三斎の消息(手紙)が掛けられた床



茶席にはこれから開く花をいれます
今にも開きそうな大きな椿の蕾が
瑞々しい生命の息吹を感じさせます







奥高麗
宗入の楽
紅安南

美術館に所蔵されている様な
最高級のお道具ばかりですが
宗家は「どうぞ全て触れてください」
と仰います
触れると10倍理解が深まります
大変勉強になります

全てのお席がゆったりと時間が流れ
皆さんに十分に楽しんでいただきたい
という気持ちが伝わります

 

季節感の演出だけでなく

流派や茶席にまつわる歴史の背景を

深く汲み取った室礼や
遊び心を加えた文化の伝承など
もてなす側としても見習いたいことばかりです

 

宗家のおおらかな心に触れ 学び

またひと回り成長できた気がいたします

 

 

 

 

 

【海老澤 宗香 茶道教室のごあんない】

次回の

お稽古は 11月25日(土)

茶道を通じて素敵な日本を知りませんか音譜
ワークショップは 12月17日(日)

茶道の神髄「侘び」を体感するワークショップですキラキラ

 

いずれも経験問わず募集中ですビックリマーク

見学も歓迎しております

事前にご予約をお願いいたします

Email : WAXWANE29.5@gmail.com
※WAXWANEは小文字にしてメール送信してください

 

 

 

【3回完結茶道のきほん講座 ~飲んで点てて知る~】

いよいよ最終回ビックリマーク
第4回生 募集中です

茨城県陶芸美術館
☎ 029670-0011
にて予約承っております 
よろしくお願いいたします