最近の日本の株式市場も、先週日経平均は163.09円高の15,342.87円と続伸となり、7月11日以来の水準を回復してきたが、JASDAQ、マザーズやヘラクレスの所謂IPO市場(新興市場)は依然低迷している。
この原因は、源流は今年はじめのライブドアにあるがその後も粉飾決算や大幅な業績の下方修正に個人投資家が大企業の東証への資金シフトや暫くの静観を決め込んでいるためであろう。
このIPO市場は、上場申請基準が緩やかで資産規模が小さく、赤字企業でも上場適格となる企業もあることより、IT企業を中心にバイオ、人材派遣企業等他業種に亘り多数の中小中堅企業が上場している。
それだけに、最近の売掛債権未回収による大幅な減益や創業者のワンマン経営によるコンプライアンス不在による不正貸出の背任行為により市場から一瞬に信用を失うことが起きている。
大企業は、社内から選出されたトップに取締役そして社外の取締役・監査役がそれなりに機能しトップの暴走や判断ミスがチェックされるが、IPO企業は経営者一人の経営資質や性格に依存する脆弱な体質である。
昨年8月にマザーズに上場した、高級ホテルにネット網を築く一休(http://www.ikyu.com/
)の森 正文氏(44歳)が「日経ビジネス」7.31号に登場している。
森氏が生保の雄日本生命を退職し起業した理由は、在職中のC型肝炎での4年間の闘病体験が影響しているという。「一度きりの人生を光り輝くものにしたい」と。
起業人の誰もが味わう苦労を経験し、その後の飛躍のきっかけはインターネットオークションに「ホテル」を加えたことである。新宿を歩いていて部屋の明かりがまばらなホテルを見ての閃きである。
そんな彼に、イトーヨウ堂の創業者でセブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊氏が上場の1週間前に突然「一休の株を一株買ったが、どんな経営者かみたかった」と面会に現われたエピソードがある。
さらに、上場に反対した伊藤氏も上場後は「時価総額や株価は気にせず
じっくり事業を広げればいい」とアドバイスしたという。ヒルズ族との違いを森氏に見た伊藤氏の慧眼であろう。
この春に、上場直後その企業の経営家が自分の株を高値で売り数億円の私服を肥やしたと「掲示板」で非難を受けている企業もあるが、逆に企業向けソフト開発のサイボウズ(http://cybozu.co.jp/
)の経営陣が所有株を売却せず、自社のビジネスの開発に集中している企業もある。
これに感動したある個人投資家が、成長したこのサイボウズ(今は東証1部)株で莫大な売却益を得たと聞いたことがあるが、この会社は最近も「子どもが小学生になるまで最長6年の育児休職を、しかも取得回数は制限なし」を導入している。
一休にしろ、サイボウズにしろIPO市場或いは卒業組には「地のついた将来有望な企業とそれをリードする若手ながら立派な経営者」がいるのである。
そのためにも、「日経ビジネス」はじめ経済誌がIPO公開企業のビジネスモデルよりもっと企業の浮沈を握る「経営者の資質や人なり」を正確に紹介してもらいたいものである。
それで、我々個人投資家は僅かな資金で将来有望な企業を支援することができるのである。
- ダニエル・ピンク, 大前 研一
- ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

















