蝦読weekly 20230226~0304 | 55までの抵抗

55までの抵抗

50代半ばのおじさんが主にランニングと読書で加齢に抵抗するブログ

 蝦読weeklyです。
 今週読了した本はこちらです。


池波正太郎著 『梅安冬時雨』
池波正太郎著 『殺しの四人』

 『仕掛人・藤枝梅安』シリーズも全巻再読完了です。
 本来は『殺しの四人』がシリーズ1作目になりますが、昨年読んだので後回し。まずは第2作『梅安蟻地獄』からスタートして絶筆となった『梅安冬時雨』まで読んで、第1作に戻るという読書になりました。
 凄腕の仕掛人たちの世界。その生業ゆえに、復讐、そして死と隣り合わせとなる梅安たち。緊迫感に満ちていて、情感に満ちている。最初から最後まで面白い物語世界。『梅安冬時雨』に収録されている「梅安余話」を読むと著者の江戸時代の人々のくらしに関わる知識が豊富であり、作家としての感性・心構えが素晴らしい。これが面白くならないわけがありません。仕掛人といえども人間であること。人間であるからこその欲。表の稼業への思い。料理や酒の描写。言うまでもなく一級品でした。
 それにしても本当に絶筆・未完が残念。仕掛人たちがどういう結末を迎え、物語がどこへ着地したのか。読むことはかないません。
 『殺しの四人』は再読にあたり、新装版を購入しました。持っている文庫が字が小さくて読みにくくて(泣)。齢を重ねるってこういうことなんだなと実感しております。また、読むだろうし、この機会に少しずつ新装版にしていく予定です。


『ご本、出しときますね?』
 若林正恭が作家とトークする番組の書籍。
 番組そのものを知りませんでしたがm(_ _)m、本のタイトルと若林正恭の名に惹かれて手にしました。しかも佐久間宣行の名もあって、私の好きな要素しかないという本でした。
 対談形式なので読みやすく、作家の本音や思考、若林正恭の感性もわかって思わず笑ってしまうことも。出てくる作家のマイルールもトークテーマになっていて、バラエティ豊かだなと興味深く読むことができました。集中して仕事するためのルーティンとかポリシーってありますよね。村田沙耶香、人気作家なのにバイトしている方が書けるとか、わからないではないなぁと。あとルーティンではないですが、佐藤友哉・島本理生夫妻のちょっとドライなやりとりが個人的にはツボでした。
 番組そのものも見てみたかったなぁ。


『鬼平と梅安が見た江戸の闇社会』
 タイトルと内容にちょいとズレがあり、火盗改・奉行所の組織、江戸時代の民衆の暮らしについてまとめられている側面が強いな、と感じました。民衆の暮らしの中で、犯罪者や刑罰、アウトローについて触れられており、闇社会についても触れられてはいますが。
 江戸時代の民衆の暮らしや奉行所の組織についての情報は面白く、江戸時代を舞台にした小説や時代劇が好きなら知っておいて損のない情報が満載。今後も開く機会の多くなりそうな一冊です。
 仕掛人シリーズを読んだばかりだったのでタイムリーでした。

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 日曜22:00から放送されているバカリズム脚本の『ブラッシュアップライフ』が面白すぎて衝撃です。
 『鎌倉殿の13人』が終わり、しばらく大河ドラマ以外のテレビドラマは見ないだろうなあと思っていた1月。

 バカリズム脚本だということで見始めたところ、登場人物たちの会話のリアル感と展開の面白さに引き込まれました。これまで描いてきたことが0226放送分で大きく動き出し、コメディタッチだった作品のすべてが哀しみをまといはじめ、これから主人公がどういう生き方を選ぶのか……思わず震えました。

 バカリズムがスゴイ脚本を書いているなぁと感服するし、俳優陣が上手すぎるんですよ。安藤サクラが素晴らしいし、夏帆・木南晴夏・染谷将太・黒木華・松坂桃李・永野芽郁・三浦透子・志田未来・江口のりこ・水川あさみなどなど個性と上手さの同居する人たちばかり。鈴木浩介の演じる教師ミタコングなんて「いるいる、こんな佇まいの先生」といった存在感だもんなぁ。
 もうすぐ最終回。寂しくなります。本当にしばらくテレビドラマを見なくても満足なレベルの傑作です。

 文中敬称略です。