#641 本レビュー『歴史街道 令和6年4月号』の感想 | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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大河ドラマ「光る君へ」 - NHK』の男女作家特集や北条・上杉・武田の関東の戦国時代を扱った『歴史街道 2024年 4月号 [雑誌] 』の感想

 

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  内容やレビュー

今回は大河ドラマ『どうする家康』も、ついに最後の戦いとして大坂の陣が描かれます。戦無き世(浄土)の実現を目指す家康に対して、戦の世(穢土)を望み続ける最後の敵役が実は秀頼という感じの展開ですが、史実としてどうだろか、特に描かれないであろう部分について読みたいと思って購入しました。

特集1 戦国合戦・関東100年の争乱

北条氏、上杉(長尾)氏、武田氏らが競い合った戦国時代の関東100年を1493(明応2)年の伊勢宗瑞の駿河から伊豆への侵攻から、1590(天正18)年の秀吉による小河原征伐までを7つのターニングポイントで、関東の勢力図がどのようになっていったかという変遷がたどれます。

 

<7つのターニングポイント>

1.伊勢宗瑞による相模経略

2.北条氏綱の関東管領職就任

3.北条氏康の川越合戦での勝利

4.古河公方足利義氏の成立

5.長尾景虎の関東侵攻開始

6.越相同盟による佐竹方勢力の形成

7.北条氏政の織田政権への従属

一覧で並べてみても、戦国の関東100年は、よそ者の伊勢氏(のちの後北条氏)の存在の大きさ、その後北条氏とどう付き合っていくのか?後北条氏がどうふるまうのかというのが大きな要素であることが分かります。

 

特集2 平安時代の「すごい作家」列伝

女性編と男性編に分けて、各作家の作風などを説明してくれています。

女性編については、大河ドラマ『大河ドラマ「光る君へ」 - NHK』のまひろこと紫式部やききょうこと清少納言だけでなく、兼家に息子を売り込む藤原道綱母や現代なら大炎上間違いなしな危険な恋に生きた和泉式部などが取り上げられており、今後のドラマの展開にその作風から楽しんでみるのもいいかもしれません。

 

男性編は、大河の時代に先立っての在原業平や紀貫之、そして大河の藤原道長に濃いキャラ藤原実資のことが取り上げられています。知っておくべき視点として、道長や実資らも日記を残していますが、それは京都の事ばかりで地方の実情は分からないという庶民の事にはあまり関心のないような実態があるということです。

 

小ネタ 日本の「給食」の歩みをさぐる

小ネタ的に面白かったのは、この給食についてでした。

日本の給食史としては、1889(明治21)年の山形県鶴岡町(現、鶴岡市)の私立忠愛小学校で出されたものが日本初の学校給食なんだそうです。公立ではなく私立なのには驚きました。

 

しかし、その100年近く前の江戸後期の1806(文化3)年に、会津藩の藩校の日新館で15歳以上の生徒に昼食が出されたという記録があり、これを日本最初の給食とする説もあるんだそうです。日新館では昼食が提供された理由は、貧しい子弟も食事を心配せずに勉学に集中してもらうためで、その点から考えると給食と呼べるものではないかと私も思います。

 

世界では、19~20世紀初頭にかけ、貧困家庭の子どもの栄養状態の改善を最大の目的としてフランス、イギリス、ドイツ、アメリカなどでも導入されていったそうで、日本の忠愛小学校も生活が苦しい家庭の子どもに無償で昼食を用意しようということで始まったそうです。

 

こういった歴史を振り返るにつけ、一億総中流なんていう時代もほぼ遠いものとなった今の日本でも格差や貧困が言われる中、もともとのはじまったころの給食の意味が注目される状況は、日本社会の置かれた現状の厳しさに思いを馳せる特集でもありました。

 

〈書籍データ〉

『歴史街道 令和6年4月号 第432号』

発 行:株式会社PHP研究所

価 格:840円(税込)

発 売:2024年3月6日

 
 
 
 

 

 

 

 

 

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