源氏の嫡流、本命の源頼朝ついに起つ!
本書について
7巻の最後に以仁王と源頼政の平家打倒計画が発覚して挙兵前に始まってしまった以仁王の乱から8巻は始まります。
以仁王と源頼政は、
①後白河法皇とその近臣たち、
②山門(延暦寺)、三井寺、藤原氏の氏寺興福寺
⓷各地の源氏勢力
を当て込んで挙兵するつもりが、①の法皇は幽閉、②は3つの寺が協力できない状態、⓷は令旨がいきわたってからなのに策士だけどポカをやらかす源行家(新宮十郎行家)により事を起こす前に発覚して、あっという間に破れ、以仁王も、源頼政も死にます。
ただ、これに先立ち、源頼政は伊豆の官倉の倉庫のカギを孫の有綱に対して源頼朝に渡すように託します(そこには20年間我慢しながら、頼政と子の仲綱の二代で務めた伊豆守の時にため込んだ武具などが入っています)。
老境で最後の戦いとしていた源頼政が次代にバトンを託すべく鍵を渡すことで、その次代を担うものとして源頼朝が登場することになります。
以仁王の乱の収束を受けて、平清盛は400年間なされなかった遷都を断行し、福原に移ってそちらに後白河法皇も幽閉します。
ちょうどその頃、以仁王の令旨が源行家により伊豆の源頼朝にもたらされますが、以仁王の乱がおこり鎮圧されたことから、源氏の嫡流の頼朝にも危機が迫ることになり、頼朝は決起を決意して、まずは伊豆目代の山木兼隆を討ち果たします。
(『新・平家物語(八) (新潮文庫)』の巻末史料)
つづいて伊豆から北上して頼朝に味方する御家人との合流を図りますが、そこに平家方の大庭景親が大軍で石橋山にて頼朝を打ち破り、伊豆の山野を逃亡中の絶体絶命のところをあの梶原景時に救われて、真鶴から対岸の安房国(千葉県南部)に奇跡的に逃れることができました。
(『新・平家物語(八) (新潮文庫)』の巻末史料)
源頼朝決起時の坂東の御家人たち
頼朝一行は安房国(千葉県南部)の安西景益のところに落ち着き、上総国と下総国などの御家人のだれを味方につけるのかを作戦を練りながら再起を図るところで8巻は終わります。
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