#259 読了:『平家物語図典』 ~日本の古典『平家物語』を読むために  | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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『平家物語』を読むときのおともに辞典的に使うのにオススメなビジュアル的にも理解が深まる1冊

 

『平家物語絵巻』などの絵も使った辞典的にも使え、ビジュアル的にも楽しめる1冊

 

平家物語図典

2023年の読書テーマ”とにかく読了 日本の古典”で『平家物語』を現代語訳付きで読んでいます。

ようやく1巻を読み終え、味わうことの難しさを感じる中、その参考としてこちらを読んだところ、読む際のおともに手許におき、辞典的に使うと助かる1冊だと分かりました。

 

源平の争乱のころの鎧・武具・馬・馬具から、騎馬での戦い方や組んでの戦い方といった説明から、院政や摂関家の説明、京・福原・鎌倉・奥州平泉・大宰府などのゆかりの地の説明といった周辺説明から、『平家物語』の進行についての解説もなされています。

その進行としてありがたいのが、年ごとにおける日付での一覧がついてあり、そこから説明があることです。
そして、『平家物語』は史実をネタに、琵琶法師の語りによる物語であることから、劇的にするための工夫も行われています。それも分かるようになっています。この添付画像のように、本来なら源頼朝の征夷大将軍は1192年(私が学生の頃は、イイクニ ツクロウ 鎌倉幕府で覚えました)ですが、物語としては1183年の源義仲を倒す前に、朝廷から征夷大将軍として任じられることで、朝廷を悩ます義仲を倒す大義名分を得ることになります。
 
他にも、源範頼の殺害についても、史実では1193年の曽我兄弟の仇討ち騒動の中で、頼朝に疑われ、伊豆に流されて死ぬ(殺害される)という形ですが、壇ノ浦の戦いが終わり、頼朝と義経の対立が深まる中で、1185年義経の暗殺失敗の後に、範頼が頼朝により処刑されるという設定にして、頼朝の源氏一門をどんどん消していく一連の流れに組み込んでいます。
 
こういった物語の中でのあえての設定について知ることができるのがとても助かります。
 
また、一の谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦いなどで、平家一門は、”X盛”といろんな盛が出てくるので、誰が死に、誰が捕えられたかというのが分かるのも助かります。
林原美術館所蔵の『平家物語絵巻』のその絵もふんだんに使われているので、ビジュアル的にも楽しめるものとなっています。
 
最後には人物録もついています。
『平家物語』を読むときにそばに置き、分からないことがあったりしたら活用していきたいと思います。

<書籍データ>

『平家物語図典』

編 者:五味 文彦、櫻井 陽子

発行所:株式会社小学館

価 格:3,800円(税別)

 2005年4月1日 初版第1刷発行

 

 

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