本が好き!で献本を読み終えました。宇宙そして地球、ヒトの誕生から、定住農業、産業革命によって今現在も広がる資本主義社会の進化の流れから、今後起こりうる情報革命による未来の姿の例を提示し、自ら考える方法を学べる1冊
ビッグヒストリーから学び、「情報革命」後の未来を予想を方法論に基づいて実践する野心的な1冊
フューチャーリテラシー Futures Literacy 過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために
この本のキーワードは、「共進化」
これから起こりうる「情報革命」後の未来の姿(100年後の姿)をどう描くくのかを示す野心的な1冊。
●構成について
本書の前半は、それを宇宙のビッグバンから、地球、生命の誕生、ヒトの誕生から、ヒトがその集団で獲得して継承していった「文化・メディア」を人の「集団規模」と「コミュニケーション能力」により「文化・メディア」を進化させ、それが「集団規模」を大きく、「コミュニケーション能力」を進化させ、それらの進化がまた「文化・メディア」を進化させる「共進化」の仕組みが提示されています。
そして、ヒトが「共進化」を繰り返していくうちに、社会全体が行き詰ってしまう「巨大な壁」とその「巨大な壁」を崩して、社会を大きく変える「産業革命」などの革命的進化のその歴史”ビッグヒストリー”を振り返りで構成されています。
本書の後半は、その前半で得られた共見から、「情報革命」で起こりうる未来像「100年ロードマップ」について
①農業
②メタバース
③企業
の3つについて、描き方の手順に従って例示されます。
これにより、自らの問題として、「情報革命」後の世界を考えるツールを手にすることができるものとして構成されています。
●感想について
資本主義が行き詰まりを見せているのも現実ですし、情報化社会の進展やグローバリゼーションにより国民国家というこれまでの強固な枠組みを大きく揺らがせながらも、人類全体としてはまだその枠組みに縛られていることから、確かに本書の通り、ヒトの進化の前に「巨大な壁」が立ちはだかっている状態なんだと思います。
それを打ち破るものが「情報革命」で、IOT、AI、メタバースなど様々な技術が進化し、ヒトもファスト教養やファスト映画など短時間で浅くつかむ思考が広がり、「巨大な壁」を崩し去ろうとしている流れが大きくなってきていることもこの本の「情報革命」をもたらすAIなどの各種技術の説明を読むと理解できます。
ただそれについて、アナログで育った自分としては、情報の波に追いかけられ反射的に反応して生きていく姿が浮かび、追いかけまくられる姿から自分にとって楽しめる世界なのかについてはむしろ少し重い気分にもなりました。しかし、一方で「情報革命」により、長年存在して当たり前になっている資本主義経済や、議会制民主主義も大きく変化することができるのではないかという社会に対しては大きな期待を抱くこともできました。
メタネイティブが生まれ育ち、生まれたころから、いわゆるファストな浅い思考での生き方に染まったものならいい世界なんだろうと、そのメタネイティブが増えていく過程で「情報革命」が大きく進展するんだろうと思いますし、せめてファスト教養とファスト映画に自分が取り組むかどうかは置いといてその存在について理解だけはしたいと思いました。
未来の描き方については、3つの具体例て手順が示され、図示もあり、丁寧に展開しているので、思考法を身につける上では役立つと思います。自分がかかわる分野、関心のある分野が「情報革命」で100年後どうなるのかを考えることが可能にしてくれると思います。
フューチャリストが集うコミュ二ティ”フューチャリストコミュニティ”もあるそうです。
<書籍データ>
『フューチャーリテラシー』
著 者:佐藤 もとい
発行所:株式会社PUBFUN
2022年12月12日 初版発行
定 価:1,980円