#119 ブックレビュー『あらすじで読む「信長公記」』〜大河ドラマ『どうする家康』を楽しむ為に | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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2023年は、大河ドラマが『どうする家康』が始まっております。

 

編年体の『信長公記』を
トピックごとにまとめて読みやすく再構成された『信長公記』

あらすじで読む「信長公記」 一級史料に記された織田信長の合戦・城・道楽

 

 

<書籍データ>

『あらすじで読む「信長公記」』

著 者:黒田基樹

発行所:株式会社三才ブックス

 2018年1月25日 初版第1刷発行

定 価:1,389円+税

著者の黒田基樹さんは、日本中世史が専門で、2016年の大河ドラマ『真田丸』の時代考証を担当された方

  本書の特徴

太田牛一の『信長公記』は、年ごとに出来事を書いてあるため、年単位での確認はできますが、逆に、長年続いた本願寺をトップとする一向宗との戦いのように間に和平期間があったりすると、流れが途切れてしまったりするので分かりづらい部分があります。

 

 <主要トピック>

・尾張統一

・第15代将軍足利義昭との関係

・本願寺勢との戦い

・諸勢力との戦い

・本能寺の変

・信長の政策

・信長の趣味や道楽

という感じで構成されています。

  書評及び感想

 織田信長が終わりを統一して成り上がっていく流れについては、徳富蘇峰氏の『近世日本国民史』の織田信長のところで、何度も引用されているので、特段真新しいところはありませんが、一度、『信長公記』を読破した私としては、トピックごとの再構成ゆえにかなり読みやすく、まさに『信長公記』を読む入り口としていい本だと思いました。

 

 この本についての面白いのは、信長の統治政策や、外交で例えば伊達政宗や、北条氏政や、各地の大名から贈られた贈り物の記録や、趣味や道楽についてもまとめられている点です。

 

 統治政策については、信長といえば”楽市楽座”が浮かぶはずですが、『信長公記』にはその記載がないそうで、実際には今川義元もすでに駿河で行っていたとかいう話もあり、そこから類推すると”楽市楽座”の政策自体は信長の専売特許というわけではないそうです。

 逆にとにかく目立ったのが、”関所廃止”でした。諸勢力を平らげて領地とすると、とにかく関所を廃止します。そして、道路を整備します。ローマ帝国が街道で都市を結び、しっかりとメンテナンスをしていったように、織田信長もそのネットワークをしっかりと整える重要性を認識していることが分かります。

 

 道楽については、茶道具大好きで、お茶がまっさきに浮かびますが、相撲や鷹狩りも大好きで相撲大会も何度も催し、大会で成績のいいものは召し抱えるなどしています。お茶については茶道具に目がないようで、いい茶道具があると持ち主からお金を渡すとはいえ、召し上げることが結構記事で出てきています。そういった意味では、松永久秀が織田信長に寝返り、信貴山城に追い詰められたときに、信長に幾度も所望されながらも断り続けた「平蜘蛛の釜」とともに爆死するというのは、その信長への自分ができうる限りの復讐というところなんでしょう。

 

『信長公記』を読んだことないけど、読んでみたいという方に、その読むために役立つ1冊だと思います。

 

 

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