寒い話(第2話)その1 | eba-igoyaraのブログ

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趣味の多さに目眩がする・・・

これからは母から聞いた話です。
私の姉が生まれたのは戦争中で、父は召集されて戦地に行ってましたから、母は赤ん坊の姉を連れて実家に帰っていました。戦災で焼けていまは跡形も無いその実家はかなり広い家で、8畳と6畳の離れがついていました。つまり図のような間取りです。
離れの左と下は廊下で、それぞれ庭に面してガラス戸と雨戸があります。

ある日の夕方、母は赤ん坊の姉を離れの8畳間に寝かせて(図の◎)、自分は茶の間で兄弟達とコタツを囲んでいました。(実家には長男夫婦と未婚の弟妹が居たので大家族です)
ふと赤ん坊の泣き声がしたような気がして、母は茶の間から居間を通って下の廊下に出ました。すると目の前を女性が通り過ぎていきます。少し背をかがめて髪をうしろで束ねた女の人だったので、2階に住んでいる義理の姉さん(長男の奥さん)が降りてきたのだと思いこみ、そのままその人の後ろから歩いて行きました。離れの手前で、その人は右の廊下に曲がって6畳の間に入って行きました。「たぶん赤ちゃんの様子を見に来てくれたのだろう」と、母はもう暗くなっていたので、離れの部屋の明かりのスイッチ(図の×印)をいれてから、6畳の部屋に入っていきました。
8畳の部屋とのふすまは開けてあったので赤ん坊が寝ているのがこちらから見えます。
そして8畳の部屋に入ったところ、
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誰も居なかったのです。
薄暗い部屋の中には赤ん坊だけがスヤスヤ眠っています。「?」と思い、左の廊下を見ても誰も居ません。あわてて下の廊下を見ても居ません。
《ぞ~っと、その時は頭から冷水を浴びせられたような気がした(本人談)》母は赤ん坊も置き去りにして、這うようにして母屋に引き返し、「姉さまは?」とふるえながら家族を見ると義理のお姉さんはちゃんと居ます。

結局、この人が誰だったかは分かりません。まだ若い母の兄が笑いながら「足があったか?」と聞いたそうですが、「そういえば無かった…」とますます震えが止まらなかったとか。
離れの部屋から出てきたなら、すぐ後をついていた母が気がつかないはずがないので、母は幽霊と信じて疑いませんでした。

実はその3日前に本家のお婆さんが亡くなったばかりで、死ぬ前に「赤ちゃん(姉)を見たい」と言い続けていたそうです。この頃(このことの前か後か分かりませんが)に赤ん坊を風呂に入れていた時、赤ん坊が風呂の天井の一角をじっと見据えて「わーっ」と泣き出しこともあったそうです。亡くなったお婆さんの未練がこのような現象を起こしたのでしょうか。

余談ですが、隣が有名な新興宗教のお寺で、当時の人はお寺の隣は霊魂が遊びに来るので不思議なことがよく起こる、と言っていたとは私の祖母の話です。

この話は怪奇現象を否定する見方をすれば、説明はいくらでもつけられます。
「幽霊」は誰か他の女性がいたずらをしたのか、または泥棒だったのかもしれません。母の実家も大きい家で、当時はお手伝いの女中さんも何人か居たわけですから、離れの部屋に入ってそのまま廊下をぐるっと廻っていけば、母に見られることなく母屋に行くタイミングはあったのかもしれません。