よく、小説を褒める言葉で「ページをめくる手が止まらない」というのがあるが、昨日読み終えた本は、まさしくそんな本だった。
この本は、600ページを超える長い小説で、登場人物も多く、現代の僕たちの頭の中ではイメージがしにくい第二次世界大戦を舞台としている。
第二次世界大戦は、ヒトラー率いるドイツやイタリアがとかく悪者に描かれることが多いが、この小説の主人公は、なんとドイツの軍人。
つまり、ドイツ側から見た第二次大戦であり、それだけでも読む価値がある。
とはいえ、僕は普段、こういうジャンルの作品は滅多に手を出さない。しかし、特別に読んでみることにした。
というのも、僕には一年に一度くらいしか会わない「本読み友達」がいるのだが、妻の友人の父であるその「本読み友達」いわく、「これは本当に面白いから、ぜひ読んでみて」と言われたからだ。
彼にススメられてからさっそく買い、昨年、最初の4ページくらいを読んでみたが、どうにも読みにくく感じ、正直そこで本を閉じてしまい、しばらく寝かせておいたほどだ。
僕は映画は洋物ばかりだが、小説はこれまで日本のばかりを読んできたので、そっちの方が断然読みやすいのだ。
さて、しばらく寝かせておいたものの、せっかくオススメしていただいた本だし、実は世の中でもいわゆる名作と呼ばれている作品だ。
自分が読みこなせないがために諦めてしまうのはモッタイナイ、という感情を心のどこかに持ちつつ、日々を送っていた。
そこで、今年に入ってから再度トライすることにしたのである。
昨年諦めてしまった原因のひとつである、登場人物が多くて混乱するという課題があるのなら少しでも分かりやすいようにしようと、登場人物にマーカーを引いて、文章の主語をハッキリさせることにした。
物語の背景である戦時中の雰囲気や、軍の制服や、戦闘機やボートなどの詳細まではよく分からないので、勝手に頭の中でイメージして読み進めた。
約600ページある物語の、50ページくらいまで読んだ頃だろうか、なんとなく慣れてきて、話の設定や、独特の言い回しなどが少しずつ面白く感じるようになってきた。
100ページを越えるころくらいには完全に面白くなってきて、途中からもドンドン増える登場人物の多さに驚きながらも、こりゃますます話がエキサイティングになってくるな、と予感させた。
後半に入るとまさにのめり込むという状態になってしまい、トイレを後回しにしても読みたいレベルになっていた。
クライマックスでは、僕の頭の中はまるで映画を観ているような感じになり、主人公と相手方のやりとりにシビレるほどだった。
読み終えたばかりの今、食わず嫌いをしていた自分がバカみたいに思える。ススメてくれたずいぶん歳上の「本読み友達」には感謝するばかりだ。
面白い本をまた一つ知れた喜びと、「慣れ」や「工夫」の重要さを改めて思い知った一冊だった。
大戦時のドイツ人=悪、ではない。
それはイメージであり、そうでない人々も大勢いた。
彼らにも友や家族や恋人があり、非情な上司に悩まされ、身を賭して共に戦うことを決めた同胞たちがいた。
そうしたところを少しでも知りたい方は、ぜひ手にとってみることをオススメします。
僕は読み終えてからも、あちこちプレイバックしてみたが、そのたびに再発見があった。本当に後半の興奮は得難いものだった。
作品名
『鷲(わし)は舞い降りた』[完全版]
ジャック・ヒギンズ
早川書房
今回もありがとうございます。
続く。