今も生きてる隣組制度 インドネシア総選挙ウォッチング | 知りたがりな日本人のブログ@インドネシア

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 インドネシアでは、来年2月に大統領選挙、国会議員、地方議会議員、の総選挙がある。先々月、投票者確認調査の人が来て、家の前に調査済みのステッカーを貼っていった。


しばらく経って ”名前が登録されているかどうか自分で確認して下さい”といって、ご近所のチャットグループに添付されていたのは何百ページもあるPDFファイルだった。発信したのは、区画の世話役さん。

 

世話役さん(Rukun Tetganga)というのは、日本軍に統治された頃の隣組制度に町内会を番地単位で班に分けて、その班長さんにあたるのが世話役さん。日本でいう町内会と違うところは、転出入、結婚、出産、家族カードや身分証明証の発行などの証明書を役場で申請する時には先ず、世話役さんの署名が必要になることで、世話役さんに聞けばご近所の最新の情報が得られることになっている。

地方政府の窓口のような立場で、お知らせを配ったり、独立記念日イベントを企画するほかにも、区画内で問題が発生した時は立会い人になり、住民の意見を纏めて他の世話役さんたちとも調整して町内会に提案を出したりする機会もあり、やりようによっては戦略的な立場でもあるらしいけれど、実際のところどうなっているのかはよく分からない。

 

ただ、アプリのチャットグループが出来てからは、多少なりともこの世話役さんを中心としたコミュニティーに関わりを実感できるようになった。何よりまず、停電、断水、殺虫剤の散布の予定を、前もって知らせてもらえるようになったのはありがたい。

それに、突然の停電があってもすぐにご近所同士で情報交換できようになった。以前は、個人でPLNに電話しても無駄な努力なので、黙って待つしかなかったが、まとまった情報をもって通報すると対応も早いようだ。その他、うちの猫が逃げたんだけど見なかった?近所でこんな事故があったから気をつけてとか、お手伝いさん紹介してとか、ご近所ならではの情報交換の場になっている。

そんなチャットに混じって、地域全部の投票者名簿が送られてきたので、ちょっとたじろいでしまった。インドネシアの選挙は全国的には選挙専門の機関によって一律で実施されるが、末端では、こういう超マニュアルな一般市民の世話役さんたちの手作業によって支えられているところが面白い。

 


確認済みの家に貼られるステッカー
確認済みの印として窓に貼られたステッカー