息子の写真を抱えたお母さんがぽつんと一人。
インドネシア大学といえば、国内最高位の国立大学。入学してまだ数カ月の18歳だった。雨の夜、バイクで転倒して投げ出された反対車線、走って来た車は急ブレーキをかけたが間に合わなかった。
「事故死した本人が容疑者になるとはどういうこと?」
彼のお母さんが黙っていられないのも無理はない。その自動車を運転していたのが、警察幹部のOBだったために忖度せざるを得なかったのか、警察は事故死した本人を容疑者と認定していた。
息子の写真を抱えたお母さんがぽつんと一人。
インドネシア大学といえば、国内最高位の国立大学。入学してまだ数カ月の18歳だった。雨の夜、バイクで転倒して投げ出された反対車線、走って来た車は急ブレーキをかけたが間に合わなかった。
「事故死した本人が容疑者になるとはどういうこと?」
彼のお母さんが黙っていられないのも無理はない。その自動車を運転していたのが、警察幹部のOBだったために忖度せざるを得なかったのか、警察は事故死した本人を容疑者と認定していた。
ここのところインドネシアでは、警察幹部の犯罪や横柄なふるまいが話題になっていることもあって、その方向で報道がなされていた。しかし、事件現場の向かい側の店舗に設置されていた監視カメラの映像が公開されると、この事故の裏にある、もっと深刻で根本的な問題、つまり、このような事故はこれからも起こるリスクが高いということが明らかになった。
事故現場の検証の結果で言及された事故の原因は路上の”穴”だった。
直訳すれば、”浸透井戸” 洪水対策として水路の清掃とか、違法住宅の撤去を頑なにやろうとしなかった前知事が、とっておきの秘策として、任期切れを前にして一斉にやっつけ仕事で作ったものだった。
路上に、深さ2.7メートルの穴を掘って、コンクリートで固めるという工事は、当初から専門家が警告していた通り洪水対策には全く効果はなく、まだ出来上がって間もないというのに、穴の周囲はデコボコになり、ヒビが入り、陥没し、フタが壊れてタイヤがはまってしまうなどの事故が頻発して大変な問題になっている。
ついに人身事故まで起こってしまった。未来のある若い子がこんなことで命を失うなんて残念で仕方がない。適切な交通手段が未だ十分でないので通勤・通学にオートバイを使用するのはまだまだ必要不可欠だが、道路がガタガタ、交通ルールはあってないようなものなので日本とは桁違いの運転技術が要求される。年中渋滞だから救急車を呼んだとしてもすぐに来るとは限らない。
この件が炎上してから、亡くなった青年の容疑者としての認定については取下げられた。この警察幹部OBの2024年のジャカルタ州議員選挙出馬予定も実現しないことを願う。
あまりのお粗末な工事に非難が殺到し、新しい知事によって予算も削除され”浸透井戸”計画は中止になったものの、既に作られてしまった16,000個の穴のある道路の状態はこれから益々悪化していくだろう。この雨の季節は、この蓋の上に水たまりが出来て見えなくなっていることもあっり危険なのでバイクも車両も注意が必要だ。