これはアタック25最終回翌日に、朝日放送テレビの夕方報道番組「キャスト」にて最終回の裏側が明かされました。これがそうです。↓
動画の内容を自分なりにざっくりと説明します。
まず、アタック25の収録は問題の読み合わせから始まります。収録直前にその日に使うすべての問題を出題の加藤アナウンサーが実際に読み上げ、司会の谷原さんをはじめ、スタッフ全員で間違いがないかなどを確認します。
そして問題構成を担当するのは、アタック25の46年に渡る歴史の中で30年以上携わってきたベテランの高見孔二さん(放送当時71歳)であり、他の作家が作った問題から収録で使うものを選んで構成しています。
ちなみに高見さんがどういう人物かというと、漫才などの台本を書く演芸作家であり。、これまでにレツゴー三匹や宮川大助花子など大市場の漫才や、コントを大体1000本以上を書いてきた演芸界の 大御所として知られています。
問題作家は12人、1人あたり20問考えてきますので、
12人×20問=240問
集まります。但し実際使える問題は一回の収録(二本撮り)40~60問ぐらいなので大体2割程度です。残った8割が使えないボツ問題になりますが、一つは難しすぎる点にあるんです。
問題は難しいほど簡単に作れますが、アタック25では答えてくれない限り前へ進みません。要するに答えてくれるという事は優しいという事なんです。優しいけど一見難しそうに聞こえないと問題としてと成立しません。例えばこんな問題があったとします。
「イギリスの首都はロンドンですが、フランスの首都はどこでしょう?」
とかいったのは問題じゃないし、作れません。ですから高見さん自身としてこれが使えるという問題はずばりこういう問題だと語っています。
「生活感があって、そんなのがあるんだと言われるやつです。例えばコンセントの穴は右と左と大きさが違います。必ず左がデカいんです。だから『えー、一緒だと思ってました』と言われるのが嬉しいんです。そうすると次の日に会った人に言いたくなりますよね。そういう問題を狙っているんです。」
ここで実際収録で使われた問題を出題します
問題
「あいうえお順」でも「いろは順」でも16番目の文字は同じです。何でしょう?
正解…た
解説
『あいうえお順』
あいうえ
おかきく
けこさし
すせそた
『いろは順』
いろはに
ほへとち
りぬるを
わかよた
4×4=16で現しましたので、これで分かるかと思います。
こんなちょっと話したくなる問題に知識を
問う問題をと映像問題を織り交ぜパネルを取り合う。それがアタック25なのです。
アタック25が始まったのは今から46年前の1975年です。初代司会者は俳優の児玉清さんで、アタック25といえばやっぱり「アタックチャンス」で、児玉さんが亡くなった後も浦川アナウンサーや谷原さんへと引き継がれました。
谷原さん曰く、収録にあたり気を付けている事に関してこう語っています。
「出てくださる方は1回でた方でも2回目3回目と出てくださる方は毎回緊張されてるんですよね。だから実力発揮できない
といった事がないようなるべくほぐしてあげて、家の中にように赤も青も緑も白も敵ではなくて一緒にクイズを楽しむ仲間なんだよっていう空気を作ろう作ろうと努力してました。」
昭和、平成、令和と時代をまたいでもずっと一貫して変わらなかったことがあります。それは回答者が一般の人であるということだったのですが、アタック25のプロデューサーの綾川由里絵さんはこう語ります。
「コロナになる前の話ですが、選は年3回春・夏・秋にやってました。ですから地方とか全国へ飛び回ったりしてました。
応募自体はすごく多くて、一番多い東京ですと1日400人で二日間かけてやるため合計800人近くの方が予選会に来られました。
一年間だと全国で6000人の方が参加されます。」
年間予選を突破して出場出来るのはおよそ200人(ペア大会含む)ですから、倍率からして約30倍という結構狭い門です。こうして決まった出場者に対して高見さんが問題を構成しているのです。
そこで高見さんになにが難しいのか聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
「何が難しいかというとバランスです。
アタック25を見てくれるのが一番いい視聴者は、小学5年生の子供とお父さんが前で見てみてると、問題が出て来てお父さんが答えると、『お父さん凄い』って言われるのが何問か欲しいんです。
つまり、一般的な人でもトップ賞とれるかなと思わせたいんであって、出てる人だけが参加じゃなく、見てる人も参加なんです。そんな番組は今少ないです。
終わる寂しさがあるかと問われると、なくなってからになるでしょうけど、あー楽になったって思うかもしれませんが、実際は分かりません。」
高見さんの校正が終わったら終了という訳ではありません。実際はここからが最も重要な作業と言っても過言ではないチェッカー会議というのがあります。これは問題文にサ間違いがないか、もしくは答えが限定できているかなどを校閲してチェックする仕事であり、ゲームでいうデバッグです。
放送用問題用紙にはおびただしい量のチェックが入っている事が結構ありますが、こういう問題がありました。
ボツ問題
金、銀、銅、この3つの金属のうち、摂氏20度の室温で最も電気を通しやすいのはどれでしょう?
正解…銀
パット見た感じはおかしなところはなさそうですが、チェッカー会議の結果ボツになりました。この理由についてチェッカー歴45年という大ベテランの倉橋光子さんはこう語っています。
「この問題のポイントは室温です。人によってその判断が違ったりするということが一番大きな問題と思います。
果たして人々の感覚で摂氏20度と言い切って良いのかと問われると人によってその感覚では違うはずなんです。そこまで考えた結果、答えを限定できないという判断でボツになりました。
ですから多くの人がそのように判断できるという表現に近づけておきたいというのが、私たちの日頃取っている姿勢の大きな所ではありますし、それだけ厳しすぎるとも思えるチェックがないならアタック25というクイズ番組を46年続けることは出来なかったでしょう。
様はわかりやすい文章題を作るというのが一番重要なことだと思います。その文章がどのように視聴者の方達に受け止められるかっていう日ごろから自分たちで辞書を作るような気持ちで仕事していくって事ですね。」
携帯電話やインターネットはもちろん、ビデオデッキすら各家庭にはなかった時代。それから46年。アタック25がテレビ界に残したものとは何か?高見さんはこう語ります。
「やっぱり視聴者参加だと思います。出てる人も視聴者であり、当然テレビ見てる人も視聴者です。みんな一体になって楽しめる。しかもそれが年寄りから若い人までね。」