クライスラー・GM、合併交渉急カーブ、決裂なら米致命傷
10月23日8時6分配信 産経新聞
経営危機に陥っている米自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの合併交渉が大詰めの段階を迎えている。両社は11月4日の大統領選前の合意を目指しているとみられるが、新たに、日産自動車と仏ルノー連合がクライスラーと手を組むとの観測も浮上するなど行方は不透明だ。交渉が不調に終われば、米国経済に致命的なダメージを与えるのは必至で、政府介入の可能性も取りざたされている。(ワシントン 渡辺浩生、田端素央)
4~6月期に155億ドル(約1兆5500億円)の巨額赤字を計上したGMは、信用不安から資金繰りに窮し、9月19日に銀行団が2006年に設定した45億ドルの融資枠の残り35億ドルの適用を表明するなど綱渡りの経営が続いている。 GMが、ビッグスリー同士の合併へと動いたのも、クライスラーが持つ約117億ドルの手元資金が狙いといわれている。 これに対し、クライスラーを傘下に収めた米投資会社のサーベラスは、保有するクライスラー株とGMの金融子会社GMAC株を交換するよう要求している。サーベラスはすでにGMAC株51%を保有しており、残り49%を取得し完全子会社化すると同時に、クライスラー株から手を引きたいとの思惑があるようだ。 GMもサーベラスも、クライスラー本体への関心は薄く、市場では、合併後は「クライスラーの14カ所の組立工場の大半が閉鎖され、数万人規模が削減される」(証券アナリスト)との声も出ている。 ≪追加融資難色≫ 交渉成立は、巨額のリストラ費用の調達がカギを握っているが、GMの取引金融機関は、追加融資に難色を示しているという。 ただ、交渉が決裂すれば、GMが破産申請に追い込まれるシナリオが現実味を増す。北米で雇用する17万3000人だけでなく、部品メーカーや販売会社の社員、年金受給者を含めると100万人以上に影響が及び、大量の失業が重荷となり米国経済の悪化に拍車をかけるのは必至だ。 このため、GM幹部は「苦境にある国の重要産業の維持に連邦融資など一定の政府支援は、許されるはずだ」とし、金融機関に続く政府の救済に望みを託している。 ≪日米欧連合?≫ その一方で、クライスラーをめぐっては、GMとの交渉決裂を想定し日産・ルノー連合から出資を受けるとの観測も浮上している。 小型車と欧州・アジアに強い日産・ルノーと大型車と北米を基盤とするクライスラーは補完関係にあり、リストラも小規模で済み、日産のゴーン社長の悲願とされる「日米欧の3極連合」が実現できる。 ただ、社内では、クライスラーを抱え込むリスクに尻込みし、出資に否定的な意見が大勢だ。金融危機を契機とした自動車再編の行方はみえてこない。 |