史上最大の競売 生保激震 損保大手 出方探る神経戦 | 【未来予測・世界情勢・政治・経済・金融・有事・戦争・災害・スポーツ・芸能・サイエンス等の時事情報ブログ】 http://ameblo.jp/e269/

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史上最大の競売 生保激震 損保大手 出方探る神経戦


 保険業界で再編劇の幕が開いた。経営危機から米政府の公的支援を受けた保険大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が、日本を中心に世界55カ国で生命保険事業を展開する米アリコと、日本法人のAIGエジソン生命保険、AIGスター生命保険を売却する意向を正式に表明。今後2週間以内に入札が行われる見通しとなり、東京海上ホールディングス(HD)など国内勢に加え、仏アクサ、独アリアンツなど世界の保険大手が触手を伸ばしている。日本の生保3社が一度に売りに出される未曾有の事態で、合計2兆円超といわれる売却金額も破格の規模。国内保険業界を揺さぶる史上最大の競売が、勢力地図を塗り替えることは確実だ。

 ≪AIG「2週間めど」≫

 AIGは当初、個別企業と相対交渉での売却を模索したが、米当局の管理下で透明性を高めるため競売方式に切り替えた。米当局の救済策では最大850億ドル(約8兆9000億円)の融資枠を設定され、すでに610億ドルを借り受けた。日本のAIG関係者は、借入金を早期に返済して健全化を図るには、「売却事業は可能な限り早く現金化する必要がある」とし、入札実施のめどは1~2週間とした。

 売却が公表された3事業のうち、アリコは各国の事業が支社形態で展開されているため、早期の分割が難しく、世界事業が一括売却される見通しだ。

 このうち7割を占める日本事業は、売上高にあたる保険料等収入が1兆4657億円で、国内生保業界では大手4社に続く5位。世界全体の保険料等収入は2兆円規模とみられ、売却額も1兆~2兆円にのぼる公算だ。

 ≪アリコ争奪は世界戦≫

 アリコについては、売却額の規模や、早期の現金による買収を求められる事情から、入札に応じるプレーヤーは世界規模で事業展開する大手保険会社になるのは間違いない。米証券大手ゴールドマン・サックスなどは、M&A(企業の合併・買収)に関するアドバイザリー業務の受注を狙い、世界の保険会社に入札への参加を働きかけている。

 各国メディアは、買収企業の候補としてアクサやアリアンツをはじめ、英プルーデンシャル、米プルデンシャル、カナダのマニュライフ、オランダのエイゴンなど保険大手の名を挙げている。

 これら外資系は、日本に進出していても事業規模が小さい。プルーデンシャルは1990年からピーシーエー生命保険を、アリアンツは今年3月からアリアンツ生命保険を日本国内で運営し、マニュライフは2000年に経営破綻(はたん)した第百生命保険を買収した。ただ「各社とも日本事業の現状に満足していない」(外資系生保幹部)だけに、アリコ買収による規模拡大メリットは魅力的だ。

 ≪カギ握る東京海上≫

 これに対し、国内勢は資金力で見劣りし、「単独でアリコに応札できるのは生保トップの日本生命保険と、損保トップの東京海上HDだけ」(国内損保幹部)との見方もある。

 東京海上HDは「関心がないといえばうそになる」と積極的で、アリコの資産調査などを着々と進めている。一方、日本生命は「米アリコ本社の財務状況が不明で、どこに不良債権が隠れているかわからない。現時点ではリスクが大き過ぎ、前向きに検討できない」と慎重姿勢。アリコ争奪戦は、外資の列強に対し、東京海上HDがどう動くかがカギを握っている。

 ≪序列変化「かなわぬ」≫

 エジソン生命とスター生命の売却をめぐっては、国内勢の思惑もうごめいている。

 来年1月に合併予定の2社は一括で入札され、売却額は5000億円を上回るとみられている。

 電話やインターネットによる通信販売が主体のアリコに対し、エジソン生命とスター生命は営業職員の訪問販売が中心。これは日本生命、第一生命保険といった生保大手と重なり、買収してもメリットは限定的だ。一方、損保各社にとっては、生保の強固な営業基盤を入手できる大きなチャンスとなる。

 ある大手損保幹部は業界内の序列にこだわって、「他社に買われて差を付けられてはかなわない」とライバル意識をむき出しにする。貪欲に獲得を狙う外資系とともに、東京海上HD、損害保険ジャパン、三井住友海上HDなど損保大手の間で、互いの出方を探る神経戦が始まった。やはり高額買収がネックとなるだけに、銀行や投資ファンドなどと連合体で買収に乗り出す可能性も指摘されている。

 ≪“取り付け騒ぎ”も≫

 3事業の売却が伝えられた日本時間3日夜、波乱があった。

 AIGは午後8時、「米国外の生保事業とともに再出発」などとする基本方針を文書で発表した。日本やアジアの生保事業は手放さないと受け取れる内容で、各メディアが速報した。

 しかし、午後9時半からの電話会見で、AIG経営陣はアリコを売却する意向を表明。その後、AIG日本法人はアリコ、スター生命、エジソン生命の3事業の売却意向を発表した。

 売却は既定路線だったのに、AIGはなぜ正反対と受け取れる発表をしたのか。

 理由は、シンガポールで起こった“取り付け騒ぎ”にあった。AIGの破綻危機が強まった9月中旬、同国の現地法人AIAに解約を求める人が殺到。騒ぎが拡大して解約が続けば事業を売れなくなる。それを恐れAIGは細心の注意を払った。

 早期の入札実施は、AIGにとって生命線であり、買収を狙う企業には難しい決断を迫る。