マスタープランを書いてみる | カリフォルニアの建築家日記

マスタープランを書いてみる

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                     ~なんていうと真面目そうに聞こえてしまうけど。。。    D。



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マスタープランってなんだろう?
カリフォルニアの建築家日記  
アルクさんに聞いてみると以下のとおり。

• master-plan 【他動】~のマスタープラン[基本計画{きほん けいかく}]を立てる
• master-planned 【形】
全体計画{きほん けいかく}が作成{さくせい}された

Uh....ちょっとニュアンスが違うようだけど、
建築の世界ではマスタープランは'Masterplan’で名詞として使います。

シンプルに、‘プランの王様’みたいなもので沢山の計画が集まり
一つにまとまった‘総合計画’みたいニュアンスです。

これはまさにライフスタイル・デザインと同じ。
これから沢山のことをしたいけど、最終的に一つにまとめることができるのが
マスタープラン。 自分はマスターヴィジョン(Master Vision)とも呼んでいます。


最初のBEMつまりPrimary Aim  がわかったら実際にプラニングをしてみよう。。。

マスタープランとは旅に例えてみると“辿り着いた目的地を示す地図”みたいなものです。行き方は個人さまざまで、天候やその時の健康状態で手段が変わります。
ある地域は飛行機で、またある場所は自転車に乗って進みます。 
インドではゾウの背中に乗らなくてはいけないかもしれません。(チクチクします)

例えば、あなたのPrimary Aim(目的地)に‘将来自分は多くの人々に夢や希望を与える’という目的地が描いてあったとします。 マスタープランはその状態に辿り着くための地図で あり、途中嵐などで行き先を見失ったり、全体の流れで自分がどの位置にいるのかということを目的地と比較するために必要な道具だと考えてみます。

そんな時、スケッチブックを再度開きことの始まりの意図を確認するのです。
これが" Begin with the End in Mind"です。

場合によっては自分一人だけではなく他人やグループにも見せることで、それぞれ違った方向を向いていた船を一つの方向へ定めることができます。

1。マスタープランの目的地であるPrimary Aimを短い文章にまとめる
文章は人それぞれですが、初めて書く場合はあまり長くしない方がよいと思います。
時が過ぎるに連れ何度も書き直すと考えてください。  
注意: 目的地なので今どのような状態なのか?やどうやって辿り着くか?は考えないようにすること。

Primary Aim
目的地:_____________________________

例1:
自分に厳しかった○○さんは社会の矛盾や忘れられた日本人の心を説き
若者から高年者の心に響くすばらしい音楽を次々と創り沢山の人から愛された。

例2:
ダンスはとは芸術であり哲学でもあると説いた○○さんはダンスを通して人として生まれもった「美」を追求し数多くの新日本様式ダ ンサーを生み出した。 常に人を愛し愛され続ける心をテーマに体の動きや表情を詳細かつダイナミックに表現することとして世界でも注目を浴び沢山の生徒を 育てた。

例3:
サービス業のビジネスで成功した○○クンは少年時代から夢だった世界旅行に没頭し訪れた国は100カ国に及んだ。 晩年は世界留学と名付け世界中の子供達 に地域交換留学のネットワークを提供し成績のない学校を設立した。 加盟学校は現在37カ国まで広がり現在も成長を続けている。


例4:
(自分のPrimary Aim一部参照 ー 6ヶ月前の改善プランのケースです。)
建築家である○○は建築を通して世界中の人々と出会うことで人の心の考え方やあり方を学んだ。 建築とは個人の作品作りではなく使い手の心にあわせた舞台であり主役ではないことを説き、理論や発明というより自然界の知恵を借りたBiomimicry として新たな可能性を説いた。  プライベートの世界はとてもシンプルで常に沢山の友達を招き従兄弟が推薦するワインと趣味であるクッキングを晩年まで楽しんだ。



2. 出発点を定める
【出発点→目的地】
目的地がPrimay Aimだとすると出発点は今の自分が立つ場所となります。

考え方として“過去の自分”でもよいですが、 今何ができるか?という視点から考えほうが良いと思います。 「○○大学卒業」や「○○の資格」と いうことは過去の通過点であるので一つの経験としてプラスですが、これからの旅に最も必要なこと事実、「○○ができる」や「○○を理解している」という実 践型モデルが定めることが目的です。

「学校の成績がAだった」という場合と
「私は音符が読める」では後者のほうが旅先に有利な道具を持っていると考えます。

「学生時代、チアリーダーでグループをまとめていた」という場合と
「一流企業に勤務する上司が波風立てつずにリスクマネージメントをして出世した」の場合では前者のように楽しみながら学んだリーダーシップが旅先で効果を発揮します。

今書いたPrimary Aimと比較しながら書いてみる。

出発点:_______________________________

例1の場合
自分に甘い → 厳しいとはどういうことか?
歌を書いているが反応がわからない → どうしたら反応がわかるのか?
音楽を3ヶ月に一曲のペースで書いている →このまま続ける
世間は自分の音楽を知らない → どうしたら世間に広めることができるのか?
みんなから愛された → 愛されることをしているだろうか?


例4の場合 
建築家である →  さらにどんな建築家なのか?
沢山の人と仕事を通して知り合う → もっと違った人々と会うためには?
作品作りとは考えていない → このまま続ける
環境建築を信じている    →だからどうするのか? 究極のBiomimicryにはほど遠い。
食べることは好きだが、料理は2流 → 料理をマスターしたい
プライベート の時間が少なすぎる→ もっとバランスのとれた時間の自由を達成したい


このように自分の位置を正確に書き、さらに成長させるためにはどのようにすれば良いのか?と自分に質問します。  例4のケースの場合、 Primary Aimが以前何度と書き直されており、既に達成されている箇所もあります。 初めてのケースでは何も達成していない場合でも十分OKだよ。 

現在の位置と目標地点を確認することが意図です。
「どうしよう。。」ということは考えないようにすること。


3. 作戦を立てる
【ストラテジー/作戦】
目標点と出発点が見えてきたら中間地点そしてその中間地点への行き方を考えます。 出発地点から目的地は道のりが遠すぎるので中間地点に達したら一度休憩し、もう一度考え直してみるのも良いものです。  間違えた電車に乗っているかも知れませんからね。

ストラテジー:__________________________


例4の場合
建築家である →  さらにどんな建築家なのか? 
貢献する人 ~今貢献するために何をしているか?

沢山の人と仕事を通して知り合う → もっと違った人々と会うためには?
職業以外でもいいんだよな。。
アングルを変えレクチャーやブログを通してリーチしてみるのは?

建築以外ではどんな分野に自分は興味があるか?

作品作りとは考えていない → このまま続ける
→OK

環境建築を信じている   → 究極のBiomimicryにはほど遠い。
まずLEEDのライセンスを6ヶ月で取得する、
Biomimicry Instituteにコンタクトを試みる


食べることは好きだが、料理は2流 → 料理をマスターしたい
→クリスマス・ディナーで8人用の食事を作ることを近い目標にしてみるのは?

プライベート の時間が少なすぎる
→ もっとバランスのとれた時間の自由を達成したい

R204DESIGN2HELIXDESIGN のビジネスモデルをオーバーホールする



このようにして沢山の質問に対する答えや提案があがってきます。
この提案書が小さなプロジェクトとなるわけです。
これを “Pilot Project"(パイロット・プロジェクト)と呼びます。  パイロット・プロジェクトは今月の目標や今年の目標となり、目に見える目的地、つまり“中間点”や途中地点となるわけです。 

途中地点に時間内に到達しない場合は
“自分が悪いのではなく乗り物が悪い“場合が80%を占めています。
乗り物が悪い場合は即下車し、新たな乗りものを探します。

こうした”Doers"の行動力が常に良い乗り物へと変化できる秘訣だと考えます。


例4の場合、沢山パイロットがありますね。 汗

環境建築を信じている   → 究極のBiomimicryにはほど遠い。
まずLEEDのライセンスを取得する、Biomimicry Instituteにコンタクトを試みる
→ LEED試験に必要な情報を集める、 既にパスした人物を探し内容を確認する、費用はいくらかかるか? 時間はどのくらい投資するべきか? バックアッププランはどうするか? いつまでに取得するか? 

など具体的なゲームプランが必然と浮き上がってきます。  このパイロット・プロジェクトは短いもので3ヶ月、長いもので1年の期間が良いです。 自分のケースでは6ヶ月を基準に短くしたり長くしたりしています。  現在の仕事以外に進めることですから途中、脱線することもあるけれどPrimary Aimを確認することで軌道調整することができます。 何しろ一番大切なことだからね。

大切なのは“締め切り”を少し厳しい状態にセットすることです。 →後で説明
また記憶のコツやアチーブのコツも覚えておくとさらに効果的です。→ 後で説明

結果、6ヶ月の予定がダイナミックに3ヶ月でLEED(Leadership in Energy and Environmental Design) ライセンスを取得し、現在自分が尊敬するBiomimicryのリーダーであるJamine Benyus という方に自己紹介することができました。  
具体的なアプローチの仕方 → 後で説明


パイロット・プロジェクトは全てを同時に開始する必要は全くありません。
できることから始め、小さいステップを確実にとることが大切です。
小さいステップとは
“○○にアポをとる”
“○○にメールを書き、留守電に残す”
といった“”できることです。  

“明日にやろう”は1年たってもできていないと考えた方がよいでしょう。

1. 現在どんなに大きな問題と感じていても小さく切っていけばいずれ自分ができることに必ずつながる

2. 締め切りは自分が少々き不快感を感じる時間に設定すること

3. 後で調整できるように完璧に作らないこと

4. Have a fun with it! どんなことでも楽しむこと!


このパイロットプロジェクトがどんどん達成できるようになってきます。
また、当初自分が考えた
目的地に予定より早くたどり着くことも経験します。
そんな時、沢山のご褒美を自分に与え(だって達成したのだから。)
休憩し(一生懸命頑張ったのだから。)、
再度新たな目的地を定めるのです(退屈することが一番いやだから)。


こうして考えてみると自分が考える目的地は30-40年かけなくても
達成でき、その後、第二、第三と人生を倍以上楽しむこともできると
考えたらどうでしょうか?


これが自分がやりたいことをどんどんこなしていける秘密だと思っています。
またこのプロセスが“成長する”ということではないでしょうか?。


次回は具体的にアクションプランや違ったアプローチを紹介するね。



See ya,


D




追伸: ロンドン/パリに住んでいる方メールください。ローカルの質問ありです。