独立と自立 | てにを舎の考具 考える日本語®

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日本語を学びなおしてみると、今まで気づかなかったルールや魅力が見えてきます。
少しだけことばに意識を向け、日本語について考えてみませんか。

両親から言われました。

いい年なんだからそろそろ独立したら
いい年なんだからそろそろ自立したら

両親から言われた2つの言葉、みなさんはどちらのほうが「よーし」っていう気持ちになりますか。


」の基本的な意味は、一人であること。『新漢字林』によれば、争うことの好きな不快な犬の意味が転じて、一人の意味を表わすようになったそうです。

特に「一人」ということに力点が置かれ、「独身」(結婚する相手がいない人)、「独白」(会話ではなく、一人で話すこと)、「独習」(だれにも教わらず一人で勉強すること)、「独立」(だれかの保護を離れて、一人で生活すること)。
というように、言い換えれば「相手の制約を受けずに自由にする」というニュアンスが含まれています。


一方の「」。こちらは自分でという意味があります。もともとは

「鼻」の形から生まれた字で、それが転じて自己・おのれの意味を表わすようになりました。(『新漢字林』)。


「自分」(おのれのこと)。「自首」(犯人が自分から罪を申し出ること)、「自習」(自ら進んで勉強すること)「自立」(自分の力で立つこと)。
というように、「自」の場合は、「自ら進んで」というニュアンスが含まれています。


ですから、「独立しなさい」と言われたら、「を頼らず、自分の好きなように一人で生きていきなさい」というニュアンスがあり、「自立しなさい」と言われたら、「親に言われたからではなく、自分の足で立ち、生活できるようにしなさい」という意味なんでしょうね。