ハーブティーでお願いします | てにを舎の考具 考える日本語®

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日本語を学びなおしてみると、今まで気づかなかったルールや魅力が見えてきます。
少しだけことばに意識を向け、日本語について考えてみませんか。

サロンで、施術後にくつろいでいると、スタッフから飲み物について聞かれました。
何をお飲みになりますか?

あなたなら、
ハーブティーをお願いします」
ハーブティーでお願いします」
どちらの言い方をしますか。


「ハーブティーを」で答えるほうが適切な言い方だと感じる人が多いのではないでしょうか。その理由は、「を」を使うと、「ほかのどの飲み物でもなく、ハーブティーが飲みたい」とう気持ちが含まれてくるからでしょう。


一方の「ハーブティーで」と言うと、「ほんとはほかの飲み物がほしいんだけれど、まあ、ハーブティーでもいいか」といったニュアンスが感じられます。


例えば、喫茶店での会話で、
客「チーズケーキをお願いします」
店員「すみません、チーズケーキは切らしていまして、ショートケーキしかないんですが…」
客「じゃあ、ショートケーキでいいです


このような会話の例からも、「で」が「満足してはいない」という場合に用いられる表現となることが分かります。


また、こんなケースでも使われます。
友人と喫茶店に行き、注文します。
私「コーヒーをお願いします」
友人「私は、紅茶で」

この場合の「で」はコーヒーに対比して用いた「で」となり、自然な使い方です


NHK放送文化研究所のウェブアンケートでも、「コーヒーをお願いします」「コーヒーでお願いします」、どちらが適切な使い方かといた調査を行っています。それによると、やはり多くが「コーヒーを」がふさわしく「コーヒーで」はふさわしくないと回答していますが、10代に限っては、「両方とも問題ないが、どちらかといえばコーヒーをのほうが丁寧である」と回答しています。


この調査は2008年に行われたものですから、この世代が20代になっている可能性もあります。若い世代で変化した言葉はやがて、「それが当たり前」というようになってしまいます。「日本語の正しい使い方」をきちんと伝えていくことが、今求められているような気がしてなりません。