昨年7月のブログでIPランドスケープに関する書籍という記事を書きました。この投稿から約半年が経過しましたので、IPランドスケープに関する書籍についてアップデートしたいと思います。
前回の投稿「IPランドスケープに関する書籍」でも触れていましたが、日本経済新聞出版社から「IPランドスケープ経営戦略」が刊行されます。.
執筆者は日本経済新聞記者の渋谷さんという方ですが、IPL経営戦略研究会も執筆に加わっていて、来月からKITで始まる「IPランドスケープ要論」をご一緒させていただく杉光先生と小林先生もメンバーに名を連ねています。
Amazonの内容紹介を抜粋すると、
企業の競争力の源泉として知財が注目を集めるようになってから、20年近くが経とうとしている。しかし多くの日本企業では、
知財部門と経営とが相変わらず分離してしまったままだ。知財の重要性がますます高まっているにもかかわらず、グローバルな先進企業との差は縮まっているとは言いがたい状況だ。
そんな現状を覆すキーワードとして、最近注目されているのがIPランドスケープ(Intellectual Property Landscape:IPL)という手法だ。
最も広い意味では知財を中核に据えた経営そのものであり、最も狭い意味では経営に生かすための知財情報を中心とする分析手法を指す。
本書は、このIPランドスケープを軸に、日本企業の知財戦略のあり方について提言したものである。
グーグル、アップル、ダイソン、三井化学、ミネベアミツミの5つのケースを使って実際に分析し、その概要を紹介する。
◎IPランドスケープの「使いどころ」の例
競合他社の強みと弱みを明らかにし、「次の一手」を予測する
M&Aにあたって、技術の側面からその評価を行う
異業種からの参入について、その兆しをつかむ
オープン・クローズ戦略を決めるための選別
――「IPランドスケープ」は、こうした製造業の「羅針盤」として機能する。
◎本書で取り上げるケース
-ケース1 アップルのデザイン戦略を読み解く
-ケース2 異業種からの脅威の分析――グーグル自動運転の実力
-ケース3 競合他社の重点分野を読み解く――三井化学の注力先
-ケース4 自社にない技術を探し、補完する――ミネベアとミツミのM&A
-ケース5 優等企業の「次の一手」を予測する――ダイソンの意外な参入分野
とありますが、
そんな現状を覆すキーワードとして、最近注目されているのがIPランドスケープ(Intellectual Property Landscape:IPL)という手法だ。
最も広い意味では知財を中核に据えた経営そのものであり、最も狭い意味では経営に生かすための知財情報を中心とする分析手法を指す。
「IPランドスケープって手法だ」と言っているのに、「最も広い意味では知財を中核に据えた経営そのもの」って・・・・・経営手法のことなんでしょうかね(汗)
個人的には「経営に生かすための知財情報を中心とする分析手法」というように、手法という言葉を使うことにとても違和感があります。
本文に書いてあるのかもしれませんが、なんでこのような定義になったのか出典が書いてあることを期待しています。私の理解としては、別に英語では確たるIPランドスケープの定義はないと思っているので。
参考:過去のブログ記事 連載「IPランドスケープ、パテントマップ、知財情報分析・・・」
閑話休題。
先日KITの客員教員で集まる会があり、その場で杉光先生と今回刊行される「IPランドスケープ経営戦略」について話をさせていただいたのですが、
- この本を購入してくれる方が知財部門中心ではなく、経営層とか事業部門の方中心であると良い
とおっしゃっていました。まさしくその通りで、知財部門の中だけでクローズするのではなく、経営層や事業部門をはじめとした他部門にもこのような動きが広まっていかないと、結局のところ過去の「経営戦略の三位一体」や「経営・事業に資する知財」と同じで、一時のブームとして過ぎ去ってしまうと思います。
そういう点において、IPランドスケープ限定の本ではありませんが、経営者向けの知財の書籍ということで、元本田技研工業・知財部長の久慈氏の新刊に期待しています。
経営者のための知財戦略 第4次産業革命と日本企業の知的資産戦略
1,620円
Amazon |
久慈氏は以前に「喧嘩の作法」という書籍を上梓しています(本のタイトルからは分かりにくいですが、久慈氏のホンダ時代の経験を踏まえた知財戦略の本で、とても参考になります)。
知財スペシャリストが伝授する交渉術 喧嘩の作法
1,512円
Amazon |
あと数日で「IPランドスケープ経営戦略」は発行されるので、今から読むのが楽しみです。
読んだ後には感想もブログの方へ掲載したいと思います。