「猫の後ろ姿」
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

猫の後ろ姿 2271 榎並和春「泉にて」 生きた水

 

 榎並和春さんの個展会場の一番奥にあるのが、国展出品作「泉にて」。
 岩の割れ目から清冽な水が湧き出している。

 思いは、<水>という特別な存在へとうながされる。

 キリスト教の聖書の一つ、『ヨハネ書』第7章37節にこう記されている。

   
イエスは立ち上がって言われた。

 「渇いている人はだれでも、

        わたしのところに来て飲みなさい。
  わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、

  その人の内から生きた水が川となって流れ出る

                 ようになる。

 また『箴言』4章23節にはこうある。
    
力の限り、あなたの心を見守れ。
   いのちの泉はここから湧く。


 人の心の内を見つめれば、「生きた水」がこんこんと涌き、流れ出している。

 それは、特定の宗教という枠を超えて、人にとって、根源的なイメージを示している。

 

 

猫の後ろ姿 2270 切に求める

 11月16日のNHKテレビ「おはよう日本」でこれを知った。
ウクライナのオデーサ州に住む若い女性オレーナ・イワネンコは兵士となることを決めた。

 老いた両親のもとに、出撃する時、そして無事帰還した時、「+ 14:10」と、「+」ひと文字のメールを送る。
      「プラスのマーク。これで私たちは分かるのです。」

 入隊する時、オレーナは「描きかけの絵」を残して行った。
「帰ったら、これを完成させる。」と彼女は言った。
 母はこれを聞いて、「娘は生きて帰ることを約束してくれたのです。」と娘の心を理解した。

 ひと文字のメールも、一枚の絵も、それを送りたいという願いと、相手を知りたいと いう願い、この二つの願いを結び付けるものだ。
 ひと文字、一枚の表現を求める切実さだけがその表現を成り立たせる。

 

猫の後ろ姿 2269 永田紅の歌のこと

永田紅歌集 『いま二センチ』

 

 永田紅さんが、第28回若山牧水賞を受賞されたとのこと。
 

永田さんの歌と言えば僕はこの歌を思う。
 
 
毎日が休暇のようだ 鴨川の流れる町に大学はある 永田紅

 本を読み、酒を飲み、映画を観た、ぼくの12年がここにある。
 若き日を懐かしむほどに、ぼくも歳をとってしまった。



 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>