「猫の後ろ姿」
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

猫の後ろ姿 2057 小早川秋声 「国之楯」

 

 

  小早川秋声の作品展が東京で開かれている。明日まで、東京・京橋の「加島美術」にて。
「国之楯」がでているとのこと、これを見逃すわけにはいかない。
 図版で最初にこれを見た時には、衝撃を受けた。横たわる軍人の顔の部分に日章旗の赤丸がかかっている。戦死者の鮮血を思わせる。
 随分以前、NHKの番組の中でこの絵が取り上げられたことがある。
下の画像で分かるように、制作当初、横たわる人物の身体の周りには小さな桜の花がたくさん描きこまれていた。戦死者を花で飾るこの表現は、作品名「軍神」にふさわしいと小早川秋声はかんがえたのかもしれない。
 しかし、発注主である軍部は、小早川秋声のこの絵の受け取りを拒否した。日本の戦争画は日本人の戦死者の姿を描かない。死ぬのは敵国民ばかりだ。
 死者を荘厳する桜花は黒く塗りつぶされて、タイトルも「国之楯」とかえられた。深い闇の中に横たわり顔から血を流し続けるこの絵は、美化された死ではなく、死そのものを描いている。観る者にものを思わせる力がこの絵にはある。
 この絵は現在、取県日南町立美術館に寄託されている。東京での今回の公開は明日まで。
ぜひ。
 

 

猫の後ろ姿 2056 樹木希林『一切なりゆき』

 

  表紙の樹木希林の表情がとてもいい。
  仏教の言葉に「顔施」というとのこと。「この顔を見たときに、フッと人が何かを感じるのであれば、人に何かを施したことになる」のだそうだ。

 
  「お世話様でした、とても面白かったです、納得いきました、
ウフフ・・・」
 
 死ぬ時にはこう言いたい、とこの人は書いている。
 見事に覚悟していたから、こんな笑顔になれるのだろう。あっぱれ。
 
 
 中野重治・原泉夫婦に関わる忘れがたいこんなことが書いてあった。
 
 <原泉さんて女優さん、ご主人は作家の中野重治さんで、私一度、夜お邪魔したことがあるんです。
 ちょうど夏で、部屋に蚊取り線香がたいてあって、中野さんはランプの灯った机に向かって何か書いていらっしゃる。その白いきものの後ろ姿に向かって原さんが、「あなた、ただいま」って声をおかけになった。
 それから、(中略)いつもはその背中を貸してもらうんですって。後ろから寄り添って、その日あったいろんなことを、あったかい背中に聞いてもらうんですって。>

 
 なんだかしみじみいい話だ。「私もできればそういう背中が欲しいと、時々思いましたよ。」という希林さんのことばが素直にうなづけます。

 

この表情も、なんだか少女のようでとても素敵です。

 

猫の後ろ姿 2055 樹木希林 おごらず、人と比べず・・・

 樹木希林さんの葬儀で、娘さんが希林さんの言葉を伝えていた。
 
   「おごらず、人と比べず、面白がって、
            平気に生きればいい。」
 
 見事な言葉だ。「おごらず」が冒頭に来るのがすごい。人は誰でも、自分はこんなに優れているのに、とどこかで自分を過信しているもんですが、そんなのは単なる勘違いであって、なによりも「平気で生きればいい」。
 深呼吸して、ゆっくりと、平気で生きていきましょう。

 

 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>