猫の後ろ姿 2333 憧れることに憧れて
晴れた空 そよぐ風
港出船の ドラの音愉(たの)し
別れテープを 笑顔で切れば
希望(のぞみ)はてない 遥かな潮路
あゝ 憧れの ハワイ航路
波の背を バラ色に
染めて真赤な 夕陽が沈む
一人デッキで ウクレレ弾けば
歌もなつかし あのアロハオエ
あゝ 憧れの ハワイ航路
常夏の 黄金月
夜のキャビンの 小窓を照す
夢も通うよ あのホノルルの
椰子の並本路 ホワイトホテル
あゝ 憧れのハワイ航路
(1948年 キングレコード
作詞:石本美由紀 作曲:江口夜詩)
昨日、私どもが住んでおります甲府市湯村の自治会13組の恒例の新年会がありました。酒を呑み、うまいものを食べますれば当然、次は「歌」となります。私はいつも岡春夫の「あこがれのハワイ航路」をうたいます。聞く方にはご迷惑ではありましょうが、当の本人は大変気持ちいいものなのであります。気持ちがすっきりといたします。
ずいぶん昔、朝日新聞夕刊の「素粒子」という小さなコラムに、
「男ひとり、深夜、あこがれのハワイ航路を歌う。あこがれることにあこがれて。」
と書かれていたことを今もよく覚えております。この深夜にひとり憧れを歌う男の心情は、私自身老いてさらに深くわかるような気がいたします。
猫の後ろ姿 2332 真実の顕現 榎並和春さん
榎並さん、御作をお送りいただきありがとうございます。小さなスケッチですが、じっと見ていると、絵って不思議なものだなあと感じ入っております。
ずいぶん以前、神奈川県立近代美術館でジャコメッティ展を観たのですが、ジャコメッティの手が描き出す線は対象の表面をたどるだけではなく、こちらからは見えない対象の後ろにまでまわりこんでゆく。
ジャコメッティの線は、対象の表面を無数の痕跡でたどり、その執拗な線の探求が、ものを平面の上に存在させている。
絵とは線で真実を顕現させる術なのではないかと僕は思います。
真実とは事実の意味なのだと白川静先生が言っておられました。
画家とは線による真実の探求者なのだと僕は思います。
さらに深い探求をお続けください。
猫の後ろ姿 2331 高橋辰雄さん
高橋辰雄さんが逝った。
個展会場で、いつもせっせと作り続けていた。いつもいつも制作中だった。体の自由が利かなくなってからも、変わりなく、いつもモノをつくりつづけていた。
2013年の11月に、AIRY山梨で開かれた《小さな声で「あなた」の事を》展がありました。神宮司和子さんが短歌で、辰雄さんが俳句で、往復して呼び交わしていました。
そのなかの神宮司さんの一首を今胸の内で繰り返しています。
ともにゆくすがたのままにたたえ合う
ツユクサのツユあふれるものを
辰雄さんの笑顔がうかんできます。
辰雄さん、あっちの世界でもモノを造りつづけていくんでしょうね。でも少しだけ休んでください。お疲れさまでした。

