猫の後ろ姿 2330 『美・批評』を求めて
『旬刊美術新報』復刻と『浅川伯教 朝鮮陶磁論集』。この両書を刊行することはできた。今年は、『美・批評』復刻を実現したいと考えている。
『美・批評』は、1930年5月、中井正一を中心とする京都大学出身の若き美学・哲学研究者グループによって、<美学・芸術学・芸術史の理論的研究専門誌>をめざして創刊された同人雑誌である。
『美・批評』創刊は、中井正一・富岡益五郎・長広敏雄・徳永郁介・藤井源一・藤田貞次・水沢澄夫の、七人が集まり、芸術の各分野にわたって新しい理論を自由に展開する「野の美学」を打ち建てようとした。
ノイエザッハリッヒカイトの美学、新たな映画や音楽の動向にも敏感に反応しつつ、新たな20世紀の美学を打ち立てようという同人たちの意気込みが誌面に息づいている。『美・批評』は第32号(1934年10月)まで続いた。
1934年秋、同人の中から新たな運動体を求める動きがあり、
35年2月、中井正一・真下信一の2人を中心に、誌名と編集方針を改め、『世界文化』を創刊した。
『世界文化』の志向を準備したこの『美・批評』は所蔵機関が限られており、これまでその全貌はつかみ難いものだった。僕は、所蔵機関の了解を得て、『美・批評』の全号の記事目録を中心に、人名目録、事項目録、掲載広告目録を編み、1998年、『山梨県立美術館 研究紀要』第13・14合併号にこれを収録した。
美術館を離れた後も探索を続けていたのだが、同誌は古書市場にもなかなか姿を見せず、これまでになんとか11冊を手元にあつめることができた。去年の暮、32号のうち27号分が出品されていた。文字通り、これに飛びついて購入できた。非常にうれしかった。
全号を子細に点検し、これまで不明であったところも確認したいと考えている。そして、最終的には同誌の復刻版を公刊したいと願っている。さて、どこと折衝すべきか、よくよく思案しなければならない。
猫の後ろ姿 2329 芸華書院・岸本さん、お元気ですか。
岸本さん、お元気ですか。
僕が編んだ『戦時下日本美術年表』を岸本さ
んの芸華書院で刊行していただいたのは、
2013年9月でした。
先日、NiCii〔国立情報学研究所(NII)
が提供する、論文・図書・雑誌などの学術情報
を検索できるサイト〕で検索しておりまして、
ついでに僕の書いたものを検索してみました。
『戦時下日本美術年表』は大学図書館88館に
所蔵されていることを知りました。ちなみに、
僕が編んだ「満洲美術年表」をそっくり収め
た『「帝国」と美術:一九三〇年代日本の対外美
術戦略』は、182館に収蔵されているとのこと。
『戦時下日本美術年表』の増補作業を毎日続け
ております。これをどのような形で活かすこと
ができるか考えております。
意味のある仕事をたゆみなく続けていくこと。
そこにこそ希望はあるのだと自分に言い聞かせ
ながらつとめております。
岸本さん、どうぞお元気で。
お目にかかれる日を待っております。
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