これを読んで最初に思った事は、日本人の古来からの感性です。江戸時代の日本人は腹に魂が宿ると考えていて、だからこそ切腹がありました。腹にある大腸は肉体的にも精神的にも、健康状態を大きく左右するので、ここに魂が宿るというのは、理にかなっています。
この事は、“腹を割って話す”や、“腹黒い”といった言葉からも分かります。古来の日本人は、頭より腹で考えていたのです。
“腹”以外にも、“肝心要”や“虫唾が走る”、“腑抜け”といった内臓関係の言葉は多いです。解剖学の発達と共に、内臓の重要さが民衆に広まっていった証拠だと思います。
個人的に最も注目しているのは、“虫が好かない”、“腹の虫の居所が悪い”のような、“虫”を使った表現です。腸内に住む小さな細菌達を“虫”と表現したのです。江戸時代は顕微鏡があまり発展しておらず、蜘蛛や髪の毛を見た程度でした。本格的に使われたのは明治時代に入ってからです。
であるにもかかわらず、腸内細菌達がいる事、彼らが自分の精神に大きな影響を与えることを分かっていたのだと思います。江戸の人々の感性は恐ろしいくらいです。
1712年には、貝原益軒という人が『養生訓』という本を書いています。人の長寿や健康について書かれており、多くの人々に愛読されました。当時の日本人は、“健康民族”と言えるかもしれません。
しかし、明治維新をきっかけにその伝統が崩れ始めてしまいます。1900年頃にドイツからフォイト栄養学が伝わり、現代のカロリー理論や、肉食崇拝が広まったのです。明治維新の頃から、ドイツ医学を参考にしていたのが大きかったと思います。
現代では、人々の食生活も健康状態も大きく変わってしまっています。“腹”よりも“頭”で考えることが多くなり、頭でっかちになってしまっています。『養生訓』では、「子供は飢えさせ、凍えさせて育てるべし』とありますが、現代では虐待とされてしまうでしょう。
「それのどこが悪いの?」なんて言われてしまいそうですが、それは根拠のない反論だと思います。日本の医療費は膨らみ続け、少子高齢化が進んでいます。とある動画では、日本は沈みゆく国と言われてしまいました。これでは、「日本人は絶滅危惧種」なんて言われても致し方無いでしょう。
諸外国と対等に渡り合い、日本人の血筋と文化、そして誇りを守る為にも、江戸の侍のような、武士道と感性が必要です。

