東京都の飢餓政策 | ブロッギン・エッセイ~自由への散策~

ブロッギン・エッセイ~自由への散策~

アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド,ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば,水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬編『証言 水俣病』)

 

 上の東京新聞もそうだが,ガザ地区の飢餓状態を「人道危機」と 報じるメディアが多い。だが,これは読者をミスリードする報道だろう。なぜなら,今ガザで起こっていることは,爆撃や化学兵器による大量虐殺と同様の大量虐殺だからだ。イスラエル軍は5月初めにガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所に侵攻し,ガザへの食料などの物資の輸送を遮断した。ガザでの飢餓・餓死はイスラエル政府が意図的に作り出したものであり,その意味でイスラエルによる民族大虐殺(ジェノサイド)としてとらえる必要がある。自然災害や凶作による飢餓・餓死とは全く事態の性格が違うのだ。にもかかわらず,現在のガザの状況を「人道危機」と報じることで,そういう自然災害による飢餓と人為的な飢餓がごちゃ混ぜになってしまう。

 

 全く性格の違う事態を一緒くたにすることにより,大切な本質部分を見えなくする。この欺瞞的な言説に既視感がないだろうか。言うまでもなく,関東大震災「朝鮮人虐殺被害者」への追悼文送付を拒否した小池都知事の言い分である。朝鮮人虐殺を地震による被害と一括りにすることによって,虐殺から目を逸らし,さらには虐殺そのものをなかったことにしようと目論んでいる。本当に公人としては許すまじき事実の隠ぺい,歴史の歪曲である。

 

 小池百合子は,ガザで起きている事態についても決して「ジェノサイド」として語ろうとしない。アーティスツ・ユニオンからの公開質問状(東京都知事選立候補者への公開質問状)に対して,小池は「国際紛争」とか「戦争」とかいうワードを使うことでガザの事態の本質を覆い隠している。中東情勢やパレスチナ問題について全く見識のない人物の発言としか言いようがない。こんな人物がカイロ大卒業のはずがないだろう。

 

 さらに関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式典についても,これまでと同じ詭弁を繰り返している。すなわち,「虐殺」という事実を伝えるワードは一切使わず,「震災による混乱下で犠牲になられた方々」として虐殺の事実を隠ぺいしている。本当に卑怯で不見識な人だなと思う。

 

 ガザの飢餓状態をイスラエルによるジェノサイドととらえて批判するのではなく,「人道危機が―」と強調して人々の同情を誘う報道のあり方は,イスラエルの責任を不問に付すと同時に,アメリカに追随してイスラエルを支持する日本政府の責任も曖昧化するものだろう。こういう報道は,「関東大震災で犠牲になられたすべての方々に哀悼の意を表する」として朝鮮人虐殺の責任の所所在を隠ぺいする小池都知事の欺瞞的・差別的態度と相通じるものがある。だから日本のメディアや知識人たちは,小池都政を歴史認識や思想の根本から批判できない。つまりイスラエル政府の飢餓政策=ジェノサイドを批判できない者たちは,いつまでたっても小池都政の犯罪性,残酷性を追及し批判できないのである。

 

 例えば,水道代の滞納者に対しては直ちに水道を止めてしまえという東京都の効率重視のやり方を,「飢餓政策」と位置づけられないのである。水が止まれば命に直結する。下の記事によれば,水道の停止件数は21年度の10万5000件から22年度は18万件に増加,23年度は24年1月までで14万件となったという。前に紹介した雨宮処凛さんの話によれば,それまでは水道料金滞納者に対して職員が対面で話を聞いて福祉につなげる対策をとっていたが,行革=事業効率化の方針による水道事業の外部委託で水道を停止するケースが増え,それに伴ってホームレスが急増した。

 

 

 小池都政が推進した水道停止という滞納対策は,イスラエルがガザで実行している飢餓政策=大量虐殺と本質的に同じなのである。すなわち,人道上の問題というレベルを超えて,貧困層を中心に住民たちを意図的・政策的に殺しにかかっている。東京都の滞納者対策というのは,命を支える水を断つことによる飢餓政策であり,「都民ジェノサイド」にほかならない。

 

 このように人の命を粗末に扱う東京都は本気で終わりにしたいと私は思う。小池都知事を支持するだけでなく,都知事選を傍観・静観することも,東京都の飢餓政策=ジェノサイドを容認しそれに手を貸すことだ。ジェノサイドを媒介にしてイスラエルと東京都はつながっている。ネタニヤフと小池百合子を絶対に許すな!

 

 Stop GENOCIDE !

 Free PALESTINE !

 Free TOKYO !