「つばさの党」逮捕は何を意味するか? | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…

 

 「つばさの党」3名が公選法違反(選挙の自由妨害)で逮捕されたわけだが,その背景というか,逮捕の先にあるものを私たちはよく見定めなければいけないと思う。今回の逮捕は,ある意味で私が最も恐れていた事態であった。どういうことかというと,こうした選挙妨害への強権発動により,選挙活動を利用したヘイトスピーチ(選挙ヘイト)がかえって権力によって守られ,社会の中で野放しにされるのではないか,と私は恐れるのである。

 

 選挙活動を妨害したという理由で警視庁が逮捕に踏み切ったことで,選挙の自由というものがより一層尊重され,「民主主義の根幹をなす選挙の自由と公正」というもっともらしい言説とともに選挙そのものを神聖視する機運(選挙絶対主義)が生まれることになるだろう。そうなれば,選挙演説を口実にしたヘイトスピーチが選挙期間中,街中に轟き渡ることになる。先日の衆院補選(東京15区)に立候補した飯山あかりのように,無知と偏見に満ちたイスラモフォビア(イスラム憎悪)とシオニズムを煽動する人物が法と権力によって守られることになるのだ。

 

 マスコミを含めて世間は,「つばさの党」の過激な言動や選挙活動の妨害という側面しか見ていない。だが,かれらの逮捕によって選挙の自由ばかりか選挙ヘイトまでもが守られ,今後より一層ヘイトスピーチが社会に拡散されるというリスクを見落としている。来る東京都知事選でもヘイトスピーチが各地に大音量で飛び交うに違いない。だから公選法なんか改正する必要はない。それよりヘイトスピーチ解消法に罰則規定を設けて実効あるものにする方が先だ。

 

 そういう差別扇動の点から見て,今回の衆院補選に関してはつばさの党よりも飯山あかりの方がよっぽど悪質であると私は思っている。下の動画にあるように,選挙の自由が保障されていることを良いことに,飯山は選挙活動の中で一般市民を恫喝してジェノサイドを擁護するような言動を繰り返している。選挙活動ならヘイトスピーチも許されるのか!そんなことはない。選挙だからといって,特定の人種や国籍の人を貶めるような差別的発言はあってはならない。逮捕案件はこっちだ。

 

 

 これまでにも何度か書いてきたが,「表現の自由」は「差別の自由」ではない。そして今日はさらにもう一つ付け加えなければならないだろう。「選挙の自由」は「選挙ヘイトの自由」ではない,と。

 

 「つばさの党」公選法違反逮捕の先には,ヘイトスピーチが跋扈する排外主義社会が待っている。そして,ヘイトスピーチはヘイトクライムと大量虐殺へと連なっていくだろう。それは歴史の教訓だ。だから私は今回の逮捕事件を強い懸念をもって注視するとともに,選挙を抜け道にしたヘイトスピーチを許さない!

 

 

【参考動画】

 1:29:45~クルド人をはじめ外国人やアイヌ,LGBTに対する飯山あかりさんの差別的発言が炸裂している。彼女の頭の中では,ヘイトスピーチもクルド人差別も日本には存在しないという前提になっている。現実を見ようとしていない。幻想世界に浸っているから,マジョリティの日本人がマイノリティの外国人によって生活を脅かされ,被害を受けているという話になる。「何,言っちゃってるんですか?」と,埼玉県知事を小馬鹿にした発言は自分に跳ね返っている。