安田菜津紀さん「包括的な差別禁止法が必要」※追記有り | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…

 

 上の動画でジャーナリストの安田菜津紀さんが日本社会にとって非常に重要なことを話している。途中からの単独インタビューは音が小さくて聴きづらいので、冒頭の記者会見だけでも聴いてほしい(~3:50)。

 

 すなわち日本には、国連人権機関からの勧告にもかかわらず、差別禁止基本法がなく、独立した人権救済機関もない。そういう法制度が国内に整備されていれば、差別の被害者個人がお金と時間をかけて裁判に訴える負担も減り、今回のような差別認定の判決も出やすくなるだろう。だから、一刻も早く包括的な差別禁止法を作るべきだ、独立の人権救済機関を設けるべきだ――こういう安田さんの主張は、私も以前から書いてきたことであり全面的に賛同する。

 

 安田さんの話で一番重要だと思ったのは、差別がどういう構造の下で起こるのかについて説明している部分である。すなわち、マジョリティとマイノリティの間にある力の不均衡・不平等の中で起こる人権侵害こそが差別なのだ、という認識の重要性である。その意味でいうと、先日成立したLGBT理解増進法は、LGBTへの理解を深め差別をなくすどころか、LGBTへの理解を妨げ差別を助長する稀代の差別立法である。なぜなら、差別が起こる基本的な構造を温存しようとしているからである。

 

 つまり、多数者と少数者を非対称の関係ではなく、対等・並列の関係とみて法律が作られているのだ。多数者と少数者が対称の関係としてとらえられているから、結果として多数者保護で少数者差別の立法になっている。そのことをはっきり示すのが、「すべての国民が安心して生活できるよう留意する」という文言の追加であろう。また、学校でのLGBT教育も「家庭や地域住民の協力を得る」という条件が付け加えられた。

 

 こういう文言の追加や修正を見ると、政府・自民党は何とかして差別を温存しようと画策しているのがわかる。自民党政権というのは、女性やLGBT、障害者、在日コリアンら少数者を差別し、その上で成り立ってきた「多数者の専制」権力であるからして、どうしても多数者保護の法律にしなければならなかったのである。そうしないと自分たちの権力基盤がヤバくなる。こういう自民党政権によって作られたLGBT差別助長法の下では、LGBTの人たちは多数者の目を気にし忖度しながら不自由な生き方を強いられるわけで、全く差別の解消につながらないばかりか、差別の構造を温存することで差別を一層助長することになるだろう。

 

 差別の温存という点では、名古屋城の復元問題も同じだ。先日の市民討論会では、最上階までのエレベーター設置を求めた車いすの人に対して、周りから差別用語を交えて「ずうずうしい、我慢せい」などの暴言が飛び交ったという。河村名古屋市長も自民党政権も、こういう差別発言をするような人たちの支持の上で成り立っている権力なのである。だから多数者に配慮した形で差別主義的法律を作るし、バリアフリーに反した施設や排除アートも平気で造る。

 

 とにかく、差別を温存し助長しようというふざけたLGBT理解増進法はいち早く根本的な改正をするとともに、差別禁止基本法の策定に取り組むべきだ。しかし自民党政権の下では、こういう差別根絶に向けた動きは進まないだろうから、マイナカード問題で自民党政府を追いつめて打倒してしまうしかない。それまでは、差別と闘っているマイノリティの人たちを支援していこう・・・

 

 

 
※追記↓↓↓