毒牙をあらわしたアベノミクス | ブロッギン敗北【ご愛読ありがとうございました】

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アウシュヴィッツが陸の上のジェノサイド、ヒロシマ・ナガサキが空からのジェノサイドだったとすれば、水俣病は海からのジェノサイドである。(栗原彬)
そして21世紀のいま、史上最悪のジェノサイドがパレスチナの地で、殺人国家イスラエルによって遂行されている…


 狭山事件で石川一雄さんが逮捕されてから,ちょうど51年目の5月23日に出た『週刊金曜日』は,石川さん夫妻の写真が表紙を飾り,「袴田事件の次は狭山事件だ」とのキャッチフレーズが掲げられていたので,さっそく購入したのだが,狭山事件についての記事は,映画「SAYAMA」についての金聖雄と小室等の対談だけで,少々物足りない気分になった。狭山事件の特集号かとも思わせる表紙だけに,どうも違和感が残る。全く根拠のない私の勘繰りなのだが,記事が直前になって差し替えられたということもあるのではなかろうか。被差別部落が直接に関わる事件だけに,原稿段階でどこかから圧力がかかったため,いくつかの記事が載せられなくなったとか・・・あり得ないことではないなと思う。映画「にくのひと」の上映中止問題もあっただけに,そんなふうに勘繰ってしまう。が,何の証拠もないことなので,これ以上,憶測でものを言うのはやめよう。

 表紙から受ける印象とはたがい,狭山事件よりも,むしろ99%の国民を疲弊させること間違いないアベノミクスに関する記事が充実していた。法人税減税や残業代ゼロのホワイトカラー・エグゼンプションも許し難いが,それと同じくらい許せないのが公的年金の運用問題。すなわち,安倍政権は128兆円もの積立金を保有するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に日本株を買わせて株価誘導を目論んでいる。これまでの積立金の運用は全体の約55%が国内債(多くが長期国債)にあてられてきたが,いずれ国債金利が上昇することによる損失を株式の運用益でカバーしようというわけだ。経済問題に倫理のことを持ち込んでくるのは的外れと言われるかもしれないが,積立金は私たちが将来年金を受け取るべく保証として国に預けているお金である。それを株式などのハイリスク・ハイリターンの投資に使われてはたまったものではない。これは国民の普通の感覚だと思うのだが,違うだろうか。こういう国民の倫理観からかけ離れた経済政策がうまく行くはずがない。だけども安倍にはこういう国民の感覚を持ち合わせていないらしい。「低迷する株価を引き上げていく起爆剤にこのGPIFの積立金を活用したい」(『週刊金曜日』p.24)というのが安倍政権の本音だ。

 また,このように政府が露骨に市場へ介入していくことは,明らかに市場経済の持続的ルールにも反する。「政治家の利害が絡んだ株式への購入圧力が強まることが想定され,それを撥ね退けて公正な対処ができるかどうか,大問題」(p.24)である。さらに120兆円を超える積立金のうちの10%,12兆円でも株式市場に投入されれば,『週刊金曜日』の喩えを借りるなら「池の中に鯨」を投げ入れるようなもので,市場を壊してしまいかねない。GPIFがポートフォリオ(運用対象)を国債減・国内株増に方針転換することになれば,ハゲタカ(外国勢ヘッジファンド)につけ狙われることは明らかだろう。そのほか,GPIF(=政府)が国内株の大株主になることは,企業ガバナンス上も好ましくないことは誰にでも分かる。株価上昇という目の前の成果だけを求めて企業の自由な活動や市場経済に圧力をかけていくようなやり方は,経済界に不満や軋轢を増大させて,いずれ失敗に終わるに違いない。公的年金による株買いは確かバブル期にも行われはずだが,株価上昇も一時的なもので企業の価値を高めるものではなかった。今回,運用はゴールドマン・サックスなど米民間企業数社に委託し,委託規模は1社あたり2千~4千億円規模という(この辺,詳しくは星月夜様の5/115/27の記事をご参照下さい)。こうなれば,もう年金が消滅することも頭に入れておいた方がいいかもしれない。だったら年金の掛け金なんて払う必要があるのかという話になる。もうこんな国家にお金を預ける気にはならんね。国民の大事なお金で株価操作をやるような国家を誰が信用するのか。国はいつから証券会社になったんですかね。『週刊金曜日』の中山智香子さんへのインタビュー記事で「消費中毒の日本」(p.43)ということが言われていたけれど,こういう年金にまで手を出して投機的な運用をしようとしている政府やそのブレーン連中はかなり酷い「投資中毒」に罹っているとしか思えない。

 最後に,わがきだみのるさんにひと言いただこう。――支配階級は支配する階級でなく泥棒組合である!(「気違い部落周游紀行」より)

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