黒衣の刺客 | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

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2015年9月 @ なんばパークスシネマ

まさに視覚への刺客。
折り重なる画から透け消え/現れ去る刺客に託された想い。
心象で刻一揺れ・塗り替えられるスクリーン。
すげェ…
太刀打ち出来ん! 


先ず幾重にも折り重ねられる多層な画作りに魅了される。
重なる事で見えなくなるもの・見えてくるもの。
隠れる事、隠される事。
平面なスクリーンが一気に奥行き、層毎に置かれた想いの距離感で以って、この寡黙な物語が躍動する。 


そして心象とシンクロするかの様な様々な画の変調が素晴らしい。
画面手前の暈しで表情の寡黙さが補完されるかの様な撮り方であるとか。
身体から発せられるアレの見せ方とか…
山頂で画面を覆い尽くす…のとか驚愕! 


ずーっと鳴り続くキックドラムみたいな太鼓の音は、去年観た『憂鬱な楽園』を想起したな。

但し鼓動を高めたトランシーなあちらとは違い、こちらは呼吸を整えるかの様なチルアウト。 

あのキックドラム(違う)が一瞬で鳴る方向が切り替わる瞬間にゾクっ! 


まぁ、しかし、スー・チーだよな。
彼女を黒衣の刺客に仕立てた時点で今作は完成してた様なものだ。
素晴らしい立ち姿。
静寂を切り裂く躍動の軌跡は、水墨画の筆致の如し。

スー・チー演じる刺客のあの不安定な立ち位置は、この監督の作品の主人公に毎度共通するものを感じたな。
向ける刃のその先に戸惑い、気付けば帰る場所を喪っていた。
まるで、台湾の孕む孤独を託されたかの様なその宿命。 


そうそう、気になってた日本人組の二人。
正直な感想、あれ?この二人ってこんなに幼かったっけ?で、二人の登場シーンだけいきなり画の強度が下がってしまったのは否めない。
どちらも好きな役者だけど、それだけにちと残念。

劇画の中に漫画が数頁紛れ込んでしまったって感じだったな。