『サイの季節』 with 『ペルシャ猫を誰も知らない』
2015年8月 @ 元町映画館
イランからの亡命を続けるバフマン・ゴバディ監督の最新作(と言っても2012年の映画)の公開を記念しての、前作を2日間限定の35mmフィルム上映。
『サイの季節』
予告を観て相当に期待値上げて挑んだのですが、これは今年屈指の一本となるであろう興奮で打ち返された。
実在の詩人の衝撃的な生涯をベースに、私情と詩情が美しい画として交差し、拭い去れぬ想いが身体に刻まれる。
傑作!
兎に角映像が凝り捲ってて、前半なんて設定すら解り難くしちゃう程で、いくらなんでもやり過ぎじゃない?と、いらぬ心配してたけど、後半の展開への説得力を持たす為でもあり、そしてこの詩人の愛へと寄り添う為のものでもあった訳だ。
すんげぇインパクトの亀、そしてサイ。
あれは多分ベースとなったサデク・カマンガルの詩を、それも原語で読まなきゃ解らない範疇なのかもしれませんが、しかし、理解を越えてくる画ってあるんだよ、っての証明。この辺は是非劇場で!
今作はレンタルで見てて凄く気に入ってた作品ですが、改めてスクリーンで観ると相当にラディカルな構造持って事にハッとした。
規制の多いイラン社会の中、唯々音楽を愛し・奏でる事にのみに全てを掛ける若者達。しかし、それすら中々叶わぬ現実がここにある。
それを、バフマン・ゴバディは極上の青春映画として世界に放ったのだ。
劇中鳴り続ける、イランの現在の若者達の音の瑞々しさが、その瑞々しさ故に不本意に現実に掻き消される瞬間が痛い。
これは『サイの季節』にも通ずる手法であったんだけど、この監督、編集で画を切る瞬間が残酷だよね。
今作、青春映画のフォーマットで以って、今のイランの音楽シーンが垣間見えるドキュメントでもあって、音だけ聴くとまんま欧米の音なのや、欧米の音を自分達の文化と折衷させるものに、伝統的なもの迄幅広い。
ファティ・アキン監督の『クロッシング・ザ・ブリッジ』の二本立てとか面白そうじゃない?
出て来るアマチュアミュージシャンの面構えがまた皆好いんだ。
そして、あんな現実を背負いながらも、鳴らされる音は凡ゆる束縛から解き放たれた瑞々しさ。
楽曲のクオリティも高かったよね?
サントラ買おう。
特にあのキーボードのリフから入る曲がお気に入り。
ドラムの子もすんげぇグルーヴで叩くし。
ちょっと面白かったのが、オープニング早々にモニカ・ベルッチを最強の女優だと登場人物に言わせてる事で、念願叶って次作では主演に迎えたって訳だね。




