2015年4月 @ KAVC
果たして本作の事をいつ知ったのだろう?
90年代初頭、宝島で記事を読んだ様な…
にしても、まさか此処迄のフッテージが現存してて、更には観られる日が来ようとは!
僅か30分にも満たない、画質も粗い、取り留めもなくフッテージが詰め込まれただけのパイロット版なれど、これだけで、山本政志監督の最高傑作どころか、邦画界、いや世界的に観ても破格の映画の胎動に立ち会えた感はあった。
オープニングの神の視座感じさせる空撮。
マクロとミクロを一瞬で往き来するあの森に拡がる宇宙。
に放心していたら、粗いフィルムの奥から只事でない眼光が、猛々しき生命力で以って挑み掛かって来る!
もう町蔵が…あの町蔵が!
あんな森の中闊歩するだけで全身全霊が歓喜に打ち震える!
だのに、更には喋り倒すんだぜ!
バリッバリの関西弁で!!!
勿論町蔵だけが凄い作品では決してなく、このフッテージだけでも、明らかな神か?悪魔か?な撮影現場の強烈にマジカルな磁場が形成されていた事が解る。
その撮影の壮絶さの一端は、来館された山本監督のトークでも窺い知れたのですが、それが見事報われただけの画の圧倒的な力!
これ、絶対完成させなきゃ、人類の大いなる損失だよ!
パイロット版の画質は確かに粗かったんですが、それにしてもよくもまぁ、90年代頭にここ迄の画が撮れたものだ。
ドキュメント映像とか残ってないものか?
あの熊楠が寝泊まりしてる宿“大阪屋”の佇まい。
乱雑ながらも独特の秩序感じさせる“熊楠の小宇宙”なあの部屋。
(実は今じゃ考えられない面子が演じた)座敷での乱痴気…
熊楠と弟夫婦の、まんまトリオ漫才なやり取り。
生命の本質剥き出しな菌類の息遣い。
あの蝸牛もエロかった…
熊楠が小川で足洗ってるだけの画でも溜息出た。
水や木々、花の存在感…
当然監督とお客さんの質疑応答は、本作の再開の可能性に纏わる物が多かった訳ですが、坂口恭平さんが資金集めに奔走している事や、キャストは当然町田康氏続投で行くだなんて応えて下さいました。
もし撮影を再開し、完成したとしたならば、20年以上の時間の流れを取り込んだ、未曾有の風景と物語が拡がる訳で、それはトンデモない体験を期待出来るのではないのだろうか?
先ず太田久美子さんの、夜の新宿の緊張を、キリキリ自ら磨耗させつつ綱渡る、ヒリヒリとした佇まいが画になる。
それだけでもう成立してしまった気がするな。
割れた硝子越しのショット。
公衆電話に突き付ける拳銃。
太田久美子さんて、同じく山本監督の『ロビンソンの庭』での姿が強烈に記憶に焼き付いているのですが、今作のオープニングでのパンクバンドをバックに歌う立ち姿のクールさは特筆物。
何処から出て来た人なのだろう?
パンクバンドのVoである主人公が、子供を友人(or 元旦那?)に預けてから彷徨う夜の新宿を切り撮った本作。
そこに様々なアウトサイダー達の物語が絡み付くのですが、どのエピソードも強烈!どうやって撮り進めたのだろう?
パンク、ドラッグ、ゲイカルチャー、テロリスト…
筋を追う事なく、雑多に焼き付くエピソードの残像から、臭い立つ孤独、そして暴かれる閉鎖感。
あの牛乳配達(演じるは諏訪敦彦監督!)を襲うシーンは、例え映画だと解っていても、心臓がキリキリするな…
烏や遺骨を売る少女。
無惨に殺されるゲイの青年と、彼を独自の儀式で埋葬する仲間たち。
ちょろっと出て強烈な印象残すジュネさんやアケミさん他、当時のパンクシーンを代表するミュージシャンがわんさか。
あれはミチロウさんだったのか…
音楽も強烈で、DVD版では差し替えられているらしいけれど、ラジオのようにやストーンズ、ザッパetc.
特にラジオのようにのレコードが最後ブツブツとエンドレスで飛び続けている(?)音とかかっちょいー!
今作、16mmフィルムでの上映だったのですが、頭とお尻こそ乱れてたものの、他は割に綺麗な状態でしたよね。
ラストの夜明けの色合いとか素晴らしい!
所々、フィルム回す音がフィーチャーされてたのもクール。

