悼む人 | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

悼む人
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2015年2月 @ 大劇


兎角白黒を・上下を・左右を判然とさせねば気が済まない風潮の世の中で、この物語が孕む“答えを求めるのでない問い掛け”は、静かな波紋で心をざわつかす。
役者陣が頗る良い。
あとは堤監督の美意識と波長が合うか?だろう。


堤幸彦監督作品、TVドラマには好きなのもありましたが、映画は悉く相性が合わず…

それってあの“TVドラマでの悪巫山戯を映画に強引に持ち込む”スタンスになのかな?と思ってたんだけど、今作なんか観るとその美意識にだった。


全体的に耽美な迄に構築された照明がちと楽しみたい心にフィルター掛けてしまったかな?

時に役者陣の熱演も霞んじゃう程… 


しかし、役者陣は頗る良い。そりゃ、皆強者・曲者揃い。
熱演するも、決して作品のバランスは欠かさない。
安定感の高良くん、いよいよその変態性が剥き出しなARATA、パーフェクトなゆりこ嬢。
大竹しのぶと平田満の絡みも珠玉。

椎名桔平さんも相変わらずキレッキレ!大後寿々花との絡みをもっと観たかった!

貫地谷しほりと大竹しのぶの絡みは至福でしかない!


気になったのはあの“悼む”ポーズ。
あれは原作にあるんかな?
何故あのスタイルに至ったのだろう? 

特定の宗教や超越的な力とは無関係な為、あれは凄くプリミティヴな行為である訳で、となるとどうそれを映画的な表現として着地させたのか?

高良くん、凄く綺麗なフォルムで、その完成度は高い。


そうそう、先日塚口サンで『鉄道員ぽっぽや/わたしのグランパ』をセットで観たとこなので、大竹しのぶ&平田満が夫婦ってのがツボに入りましたが、そうだ、『GO』だよ、この二人!


一方で雨中のバス内での高良くんとARATAの対話に『蛇とピアス』での二人が過ぎりクラクラ… 




よく“登場人物に共感出来る・出来ない”が作品の判断基準になっているのを見掛けるんだけど、それじゃ余りに映画鑑賞が先細る。勿体無い。
今作なんて、特に多くそんな感想を見掛けそうな題材だよね。