シネパスに拘束されたこの一年の大本命。
そして、これがまた、DCPが何ちゃってな画質じゃなかった!
もう堪らん!
年に一回は家で見直してる作品なれど、ラストはやっぱ泣いた…
そもそも『Love Letter』なんて、私ら世代にはアンチですら避けて通れぬくらいのスタンダード作品なれど、よくよく考えたらこれ、相当革命的で、初劇場長編にしてこれを撮ってしまった岩井俊二は、良くも悪くも邦画界をたった一人で分断してしまった。
90年代青春ど真ん中な私にとって、岩井俊二作品のあの画の空気・温度・匂いは、例えばあの当時の真夜中の甘美な彷徨とセットで記憶されてたりして、未だ不意に襲い掛かって来られたりするのです。
それにしても今作はスペシャルだ。
他岩井俊二監督作品にはない、外に開けた風通しの良さと、時代や世代に囚われぬ普遍性がある。
であるのに、濃厚に詩的であり、私的でもある。
改めて観て、そっか舞台の片方は神戸だったっけ、と。
小樽は当然覚えてるんだけど。
中山美穂がね、ホント、何でもなくって、演技すらしてないかの様な…
当時なんてトップアイドルだった訳じゃない?そんなオーラとか灰汁とか全然抜け切ってて、岩井俊二の世界に溶け込んでて好い。
一方で、記憶に残るのが柏原崇だ。
彼の鼻に掛かった甘い声は、強烈にノスタルジーを喚起するな。
図書室窓際での、あの陽光に消え行く描写に象徴されている、あの時期ならではの儚さも絶品。
開かずの間と化してる藤井樹(♂)の部屋に高く積み上げられている本の山があって、一方で藤井樹(♀)の部屋にも同じく本の山がある。
ってのに気付くのも、スクリーンならでは。
オープニングでガッツリと藤井樹(♂)を藤井樹(♀)と間違えている様が見て取れる。
住所録の左右、女の子の名前じゃん!ってね。あそこまでガッツリ映してたんやね。
そう、あの中山美穂が二役として交差するところで終わらせても、短編映画として機能しそうな構造になってるんだよね。
多分、それ以前の岩井俊二ならそこで終わらせてた。
でも、『Love Letter』の凄さはそこからの中学生編にあるのだ。
柏原崇&酒井美紀の青春突入真っ只中な青臭さに酔う!
二人の出てるシーンはどこも至福ですが、改めてスクリーンで観てツボ突かれたのは、あのチャリ置き場での二人!
もう、劇場で悶えてた!
何であんな事思いつく!?
蘭々の(戸川純ばりの)ズレっぷり。
あの空で何年も前の出席番号をカウントしちゃえる元担任教師(何度見ても鳥肌!)
運命感じさせる藤谷文子の登場。
他、どこをつついても、溢れる出る甘美さが胸に痛い。
