トリュフォー映画祭 @ KAVC前半戦 | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

没後30年フランソワ・トリュフォー映画祭
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2015年1月 @ KAVC

いやぁ…トリュフォー!
その振り幅、詰め込み具合、そしてロマンティックに過ぎる語り口!
“君が僕の朝食だよ”だなんて台詞を、他の誰が真正面から撮れるのだ!? 
大満足だよ。

そもそも、私、これが劇場初トリュフォーで、いや、正確には『水の話』は観てるんだけど、TVなんかで見てた5本も殆ど記憶の彼方で…だから今回随分期待してたものの…スケジュールがぁ…
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一番観たい辺りが…で泣きそうになってたんだけど…
泣く泣くスケジュールに組み込めるのから押さえてみたら、見事にどれも面白くって!
トリュフォー!この野郎!ツボ突くじゃねぇか!な、台詞満載にメロメロ。
女性への距離感にもいたくシンパシー。

『暗くなるまでまでこの恋を』(1969年)
『恋のエチュード』(1971年)
『私のように美しい娘』(1972年)
『終電車』(1980年)
とりあえずはこのラインナップを堪能。
どれも体感時間が長い!しかも、まだ言い足りなさそう(笑)。
未だこんなにも(身近な愛で以って)語られるこの巨匠(って呼び方が似合わないけど)の、そのチャームに撃たれ、映画に注いでも注いでも尚溢れ出るロマンスに溺れた。
そして、続けて観る事で色々発見! 



先ずはの一本目『暗くなるまでこの恋を』

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面白かったー!

ヒッチコックテイストなロマンチック風味のサスペンスなんだけど、ヒッチコックがサスペンスのフォーマットで以ってロマンチックな想いを成就させるのに対し、トリュフォーは途中で堪らず反転して、溢れ出る(笑)。最高!


ドヌーヴ✖︎ベルモンドのキリキリと致死量たっぷりな恋と欲望の駆け引きが堪らん訳ですが、その奥で隠し通せない!なトリュフォーの想いが出しゃばる。って構図。

その滾る想いを永久に凍結させたラストの雪景色が絶品! 


オープニングに“ジャン・ルノワールに捧ぐ”と『ラ・マルセイエーズ』の映像が引用されてますが、

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未見だからなぁ…その意味合いを図り切れない。何とかチェックしたい。 


そっか、『暗くなるまでこの恋を』とアンジェリーナ・ジョリー&バンデラスの『ポワゾン』

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は同一原作(ウィリアム・アイリッシュ『暗闇へのワルツ』)なのか! 


舞台となるレユニオン島、その歴史もまた本作に於いて重要なエレメント。

オープニングの結婚相手募集の広告も面白いよね。

あと『大砂塵』!

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そろそろ観なきゃ!


『恋のエチュード』『私のように美しい娘』は対照的な作品なれど、

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互いに補完し合うかの様なモティーフやエピソードが散見されて面白い。

タイピストの描写がまんま同んなじで笑った。

まるでトリュフォーの内にある対極なフェイズで、それが心地好く突出した二本だ。これを続けて撮ったのは、自分の中でバランス取ってるんだろうな。

内と外、聖と邪、哀と悦。 


こんなの観ちゃうと、トリュフォーって育ち良かったんかしら?と思ってしまう程(実際は問題多かった)に、よくもまぁ、こんなの撮っちゃえるな、と呆気に取られる俗世知らずの若人の恋模様。
ジャン=ピエール・レオも、らしくて笑。


兎に角体感時間が長いトリュフォー作品の中でも、これはそこがより顕著な大河ロマン。
いっそ、もっと後半盛り込んで四時間ぐらいの大作として観てみたかった気も。
当時のジャン=ピエール・レオの枯れた姿はちと無理があった。


あと室内撮影の美しさは絶品。
翳りのエロス。
特にミュリエルの巻かれた包帯を捲り上げて覗く眼って描写のエロさは只事でない!


クロードとアンの関係性もまたねぇ…

あの小島の別荘…
“朝食は君だ”も…
トリュフォー、何てもの撮っちゃってんだ! 


『私のように美しい娘』は、前作にあたる『恋のエチュード』から一転、テンション高めのコメディですが、この振り切りっぷりにこそ、トリュフォーの本分がある気がする。
兎に角面白い!会場も笑に沸いた。


ベルナデット・ラフォン演じるカミーユの奔放さが全編に亘って躍動して、映画が転がる・転がる。

相当にエゲツない事やってるんだけど、何故だか応援しちゃいたくなるよね! 

特に面白かったのが、あのレーシングカーのレコードのネタ!あれ、最高! 

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しかし、高いが故に物足りないのがトリュフォーらしいと言うか(笑)、どうしてもあんな三本を観た流れではもっと!もっと!と求めてしまうのが人情。 


秘めた想いが、遠回りの後、遂に成就を果たす。ものの…
の“ものの…”の残酷さがトリュフォーの魅力な気がする。
今作は、そこが割にあっさりしてると言うか、だからこそより幅広く支持されもしたのだろうけど。


そして、何を置いても今作のデジタル・リマスターは堪能しておいた方が良い。
終電車酔い必至! 




『暗くなるまでこの恋を』と『終電車』は11年の時を経ているものの、『暗くなるまでこの恋を』のあの台詞が『終電車』の舞台上に蘇るって流れは中々に憎いし、泣かせる! 


あと『暗くなるまでこの恋を』と『恋のエチュード』に出て来た“子供みたいに~して”なんて台詞はトリュフォーらしいなぁ。
『暗くなるまでこの恋を』と『私のように美しい娘』に感化院上がりの女性が出て来るのにもニンマリ。 


『恋のエチュード』『私のように美しい娘』『終電車』と出て来る、あの机の上の蛍光灯のデザインと色がそれぞれ堪らん!
特に『恋のエチュード』のそれは、35mmフィルムの色合と相俟って絶品!

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『暗くなるまでこの恋を』で、喧嘩して一人寝するベルモンドの、そのソファーの横にあった照明のデザインも好き!