『0*0』『イみてーしょん、インテリあ。』『メロデ』等で80年代のインディーズ・シーンを駆け抜け、近年では『火星のカノン』で知られる風間志織監督の1995年製作のメジャーデビュー作。ロッテルダム国際映画祭でグランプリを獲得。と並べるより、まだ無名だった田辺誠一が出演していると言った方が通りいいか。
取り壊しの決まった古い家屋。そこに暮らす3人の男。長男一太郎(趙方豪が好演)とその異母兄弟タケシ、そして父親の愛人の連れ子だったツグオ(田辺誠一が繊細に演じる)。そこに片付けを手伝いに従姉妹のサケ子が訪れる。その奇妙な繋がりを持った4人とタケシの彼女玉子を加えた5人の静かで強かな愛憎劇。
サケ子は幼い頃よりタケシを慕うが、その感情に気づいた玉子は二人の仲を裂こうとする。一太郎はそんなサケ子に魅かれる自分に気づき、一方でツグオは密かに一太郎に想いを寄せていた・・・
描き方次第では泥沼に入り込みそうな設定でありながら、一人一人の想いを丁寧に描き、無駄な台詞や説明を排して静寂や間を巧みに配した世界は美しく優しい。
ピアノの教師という設定の一太郎の奏でる旋律が、田舎の景色の中にゆったりと溶け込む。このピアノ演奏は筋肉少女帯他で活躍の三柴理さんです。
