ぼくたちの家族 | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

ぼくたちの家族

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2014年8月 @ 塚口サンサン劇場

邦画の新たなる名作の誕生の瞬間に出会えた昨年の『舟を編む』に続き石井裕也監督が手掛けたのは、家族の崩壊/再生の物語。
『舟を編む』に続き、これまた塚口サンサン劇場にて。 


石井裕也監督のテーマへの率直な想い、戸惑い、違和感すらも、とても“映画的躍動”へと編み込まれて行く様は、今の池松壮亮くんの勢いも伴って、味わった事のない揺さぶりをぼくらに掛けてくる。 


兎に角池松壮亮くんが頗る良い!
いや、ここんとこ彼の出演作、その演技、どれも素晴らし訳で、今回も当然期待してた。
にしても、ここでの実は既に壊れていた家族への、独特の距離をとった衛星っぷりは、監督のテーマへの想いが満ちていた気がする。 


孤立した魂達が、集い、新たなる家族像を模索した『舟を編む』とは逆に、ここでは“家族”と言う幻想の下で実はバラバラに崩壊してしまっていた魂達が残酷な迄に晒される。

あの思わず目を覆いたくなる痛さ!

前半そこに傷口に更に塩を塗りたくるかの様な言動に終始した池松くん演ずる弟に、こちらもブッキー演じる兄の如き苛立ち感じる訳ですが、やがて…


父親の不甲斐なさもまた、この国の現実を背負っているかの様で辛い。


しかし、石井監督の狙いはそんな現実を告発するでも糾弾するでもなく、半ば不器用な迄の手法で奇跡の再生劇を紡ぐのだ。


兎に角ユニークな手法での細やかなリアリティの積み重ねに石井監督の真骨頂を見る。

あの車の修理していないボコり具合。

脳腫瘍と漢字で書けない生々しさ。

中華料理屋でのやり取り。

益々頼もしくなる才能だ。