ホドロフスキー | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

2011年1月、mixiのBlogより移植。

先ずそのヴィジュアル・インパクト。
そして哲学的なイメージ。
でも難解さや高尚さとは無縁(でも無いのだけれど)の、俗っぽさも呑み込んだ風呂敷のデカさ。

寡作なのも。
中々見難いのも。
あまり広く(現在はね)知られてはないものの、一度遭遇してしまうとトラウマ級の衝撃を受ける事間違い無しなのも…

若かりし頃の私にはそそる要素満載だった。

代表作の『エル・トポ』の存在を知ったのは中学の頃か?そっから見たい見たいとは思いつつも近所のレンタル屋では見掛けず、TVや劇場で流れる気配も無く・・・
やっとこさ現在の地に戻って来てレンタル屋で見つけたのでありました。
他の2本も探し捲くって見つけた時嬉しかったな~

さてホドロフスキーとは?

メキシコ映画界を代表する巨匠。
1929年生まれだそうだけど・・・て事は今90歳!?
大学で心理学・哲学を学んだ後、『天井桟敷の人々』に感動しパントマイムにのめり込み、パリで出逢ったマルセル・ルソーと共にお芝居をしてたそうだ。この奇妙な経歴こそ後の彼の作風を形成してるのでしょうね。人間を内からも外からも見つめ尽くしたのでしょう。

映画の道へと進んだのは1960年代半ばから。1967年に『ファンド・アンド・リス』なる作品を撮ってます。
これ未見なのですが、どんな作品なのでしょう?今や高額の値が付いてしまったDVD-BOXで陽の目を見ましたか。

次いで1970年に伝説の『エル・トポ』を。
{440CC55C-4556-4A6A-A716-A2A3CC05272B:01}
モグラを意味する“エル・トポ”。映画を好きな方なら若い方でも名前ぐらいはご存知かと思いますが、未だカルトな人気と評価を持つ代表作。
中々配給が難航し深夜の単館上映での封切りだったそうですが、蓋を開けてみれば大成功。世界中の高名なアーティストからの賛辞に溢れたのでした。ジョン・レノンが愛し今作と次作の興行権を買い取ったのは有名ですね。ここ日本でもあの寺山修司が絶賛した事で広く知られる様になりました。

子連れのガンマンが辿る奇妙な冒険。西部劇の体制を採った前半からあまりに前衛的なムードが漂い、中盤から後半に掛け物語は予想もつかない方向へと。南米の狂気に歪む熱気と乾いたユーモアがやがて哲学や宗教をも呑み込み見た事も無い境地へと・・・
監督自身が演じるガンマンの空虚な存在感。そして大量に登場するフリークスのインパクト。
その予想不可能な物語はしかしメキシコの映画界では然程目新しい物では無いと言いますが・・・(ブニュエルもメキシコにいたんだよな~)。

そして1973年に『ホーリー・マウンテン』を!
{59D33F10-6CFF-44E2-ADC0-B378956D2A21:01}
最高傑作との声もある究極の逸品。
まぁ・・・凄いです!
前作の成功を受けてやりたい放題!誰も止められませぬ!
より哲学・宗教色を強めたように見えるものの、実際は今なら何でもできる!の万能感で見たい・見せたい映像を観客に浴びせただけの感じも(笑)。
こんな映画を撮っちゃえばもう満足だったのでしょう。
結局彼のクリエイティビリティはこの辺りがピークだった様です。

1975年にあの『デューン(砂の惑星)』の映画化に着手。
デザインにメビウスやH・R・ギーガー、特撮にダン・オバノン、役者(!)としてダリ、音楽にピンク・フロイドと言った面子を揃え1年に亘り作業を続けたものの頓挫・・・
因みにこの企画が元で生まれた作品があの『エイリアン』なのですね。
そして『デューン(砂の惑星)』自体は1984年にデヴィッド・リンチが映画化しましたね。

その後幾つかの企画を立ち上げながらも頓挫。

やっとこさ発表された作品は1989年の『サンタ・サングレ』
{473429A7-2FAE-4503-8D6E-88DAF3A35B68:01}
しかし・・・これがつまんなかった!
シュールでグロティスクな美意識はそのままに、だがしかしそれだけの映画。
イタリアのホラー映画の出来損ないの様な作品でした。
只のB級ホラー映画として見ればそこそこ楽しめそうですが、貴方ホドロフスキーでしょ!って突っ込み入れたくなるのだ。

それから20年・・・エル・トポの続編を制作したとの噂もあるものの全く公開する気配すらない。
もう無理かな~