2014年3月。
いやぁ~、『ハンナ・アーレント』。
噂に違わぬ、強靭なる思慮に貫かれた傑作。
大量の情報に溺れ、思考も絶え絶えな今この時代でも尚、ハンナの言葉は突き刺さる。
観た日の塚口サン、中々賑わってましたが、彼女の何処がそこまで私達を魅了するのだろう?
予告で感じた様な輪郭のハッキリしたキャラ造形でも、結末や結論をキッチリと提示して幕を引くドラマでは決してない。
いや、これ、随分厄介な難問を投げ掛けてくる作品なのだ。
あまり語られないハンナの背景なれど、挟み込まれる過去のエピソードは絶妙な(いや、厭らしい程の)匙加減を感じ、更には後を引く。
考えたらアレはメインエピソードには絡まない訳で、それでも“あえて”なのは、それ相応な必然性を持ってた筈だ。
これは実在の人物、実際のエピソードな訳だから当然映画として跨げないラインがある。
一方であのある種のカタルシスの後のどうしようもない苦さであったり…は実話ベースだからこそであろう。
それはまだこの問題が地続きで連なっている事、そしてその普遍性を炙り出す。
まさにここで語られる各々の“思考の停止”をゆさぶり、そして“悪の凡庸さ”に矢面で向き合わさんと突き付けられる後味の悪さこそ、最大の狙いだろう。
