SOIL 未来の記憶/SYOKO

未だ80年代邦楽インディーズのカリスマとして語り継がれるG-SCHMITTのVoのソロ一作目。
近年驚愕の発掘が続く80年代の邦楽でありますが、G-SCHMITTは全く以って高い要望(再発&再結成等々)に応える気配も無い。そこが“らしい”と言えばそうなんだけれど・・・
さて、このソロ一作目の待望の再発。
1986年のリリースから今日に至るまで一度もCD化はされていなかったのです。
彼女は2枚のソロ作品をリリースしておりますが、その両作ともメジャーから。
高く強固な自身の文学性を理想的に具現化する為の術がG-SCMITTと言う器だったとすれば、それを徹底する為に頑なにインディーズでの活動に拘ったのも納得で(その辺が再発されない要因か?)、じゃーソロをメジャーでやるにあたっての戦略はどうだったのだろうね?その辺りに想い巡らすと色々見えてくるものもある。
で、だ。
この作品の音楽パートナーは何とあの久石譲氏である。
80年代インディーズの歌姫と今や映画音楽家の大家が嘗て組んでいたなど想像も付かないけれど、リリース当時の状況と照らし合わせればそこに必然性を感じる。
80年代半ばの久石さんと言えば、それまでのマニアックな現代音楽家の範疇から抜け出、一連のアニメーション作品で披露したシンセ・サウンドで一気に知名度を上げていた頃。
そこで聴けた異世界を彩る新鮮な音は、SYOKOさんの求める背景と合致したのだろうな。
この『SOIL』と同年には『天空の城ラピュタ』の音楽も手掛けている訳で、そんな観点からもこの作品は楽しめる。
全6曲、総ての音は久石さんが手掛け、非常に実験的で攻撃的&幻想的なシンセ・サウンドを聴かせますが、例えば「Sphinx In The Night」のシーケンス・フレーズとか、「Sunset」のピアノとか初期ジブリで聴ける久石印そのものだもんね。
SYOKOさんの言葉、歌、その世界観もメジャーだからな日和見は一切無しで、特に久石さんのインダストリアルなビートの上で囁き・唸り・叫ぶポエトリー・リーディングが強烈な「Magie」は、今回のデジタル・リマスターで鮮明に立ち昇った音響も込みで必聴に値する。
今作から6年後、G-SCHMITTの活動を畳み、WEAから2作目のソロ『TURBULENCE』をリリースしたものの、その後プッツリと消息を絶ち早20年・・・
彼女はこの再発をどんな想いで知ったのだろう?
“EMI ROCKS The First” http://www.emimusic.jp/emirocksthefirst/index.php なんて、どこかレコード会社や音楽ソフトの限界を感じるキャンペーンの一環での再発である為、これが直接G-SCHMITTの発掘へとは繋がらないだろうけれど、契機にはなるだろう。¥1500と手頃なお値段なので是非皆でこのCDを買っちゃいましょう!