クレアモントホテル | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

こんなにも瑞々しい老後を描いた映画に出会えるとは!

クレアモントホテル [DVD]/ジョーン・プロウライト,ルパート・フレンド,アンナ・マッセイ


姫路シネマクラブの第86回の例会で鑑賞したのだけれど、正直なとこ舐めてかかってた。
出だしもちょっと危ういな~とか思ってたしさ。
が、しかし、その思いの他奇妙なステップに魅かれ後を付けてみれば、そこは私の求める地であった。

クレアモントホテル(@ロンドン)は社会から少し踏み出た(踏み外した?)人々が集う安息の地。
気取らず、気張らず、気後れず。それぞれに踏み込み過ぎない距離感を保ちつつも、互いに掛け替えのないピースとして滞在している。
そこの新たな住人として迷い込んだ初老の女性“サラ”が物語の主人公。
凛とした気高さのサラは、当初は住人達の奇妙なテンションと好奇心に戸惑いつつも、やがてその魅力に囚われて行くのだ。
そんな彼女には同じロンドンに住むデズモンドと言う自慢の孫がいるのですが、連絡を取り待てど暮らせど中々訪ねてこない。
そんな折街で偶然知り合った美貌の青年ルードヴィックと仲が良くなった彼女は、ひょんな事で彼に孫の振りをしてもらうのだ。そこから物語は奇妙に捻じれて・・・

初老の女性と美しい青年のロマンスって事で名作『ハロルドとモード』を想起させもしましたが(劇中でも言及される)、それを軸としながらも、そこに安直に埋没していない。
ルードヴィックと出会う事で、やがて本来のサラが持っていた感性が再び花開き、それが周りの人々の心にも新たな種を植えて行く。
その描き方があまりに独創的で、且つ厭味がない。
ルードヴィックも随分変わり者なんで、サラとの相乗でズンズンと新たな景色を拓いてくれる。
中盤ルードヴィックが、サラのお陰で知り合う可憐な女性グウェンドリンが登場する辺りでは、もうすっかり自分もクレアモントホテルの住人になった気分。

名画『逢びき』や名曲「For All We Know」、英国の詩人ワーズワース等々の引用。
SATCに夢中になっちゃたりするラヴリーなクレアモントの住人達。
サラとルードヴィックとグウェンドリンの3人での旅路の景色。
そのどれもこれもが愛おしい・・・